約 3,643,023 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1853.html
注意 死なないゆっくりがいます。 ぬるめです。 死後のゆっくり 「ゆ、じじぃ!!ここはまりささまのゆっくりぷれいすなんだぜ!!にんげんさんはつうこうりょうをはらっていくんだぜ!!」 俺が道を歩いていると饅頭が話しかけてきたので蹴っ飛ばしておいた。 「ゆぎゃべ!!」 コロコロと道端に転がっていく。すると物陰から伺っていた番らしきれいむが出てきた。 「ばりざぁぁぁぁぁ!!だいじょうぶ!!ゆっぐりじでねぇぇぇ!!」 あたまの茎をゆっさゆっさ揺らしながらまりさに近づいてくる。よく落ちないな。 「ゆぐぐ、だいじょうぶだよれいむ・・・。って、でてきちゃだめでしょぉぉぉぉ!!なんででてくるのぉぉぉぉ!!」 「まりざがじんぱいだからでしょぉぉぉぉぉぉ!!どぼじでぞんなごというのぉぉぉぉぉ!!」 なんかうるさいので黙らすことにした。 「ゆげっ!!やべっ!!ばりざざま・・・ゆべっ!!・・・づよいんだ・・・ゆぼべぇ!!」 「や、やめてね!!れいむにはあかちゃんがいるんだよ!!ゆへへ・・・れいむにはかわいいあかちゃんがいるんだがらてはだせないよね・・・ ゆっぎゃああああああああああ!!やべでえええええええええ!!でいぶにはあがぢゃんいるのにぃぃぃぃぃぃぃ!!」 さて、体は黒ずんでボロボロ、歯はガタガタ。帽子もリボンも見る影もなくなったこの二匹。 無事なのはあえて残したれいむの茎についた赤ゆっくりのみだ。 「ゆぁぁ・・・ごれじゃあもうゆっぐりでぎないぃぃぃ・・・」 「せっがぐあがぢゃんがうばれるのにぃぃぃ・・・」 まあこれだけ痛めつけられていれば自然治癒も難しいだろうからな。 「ゆぅぅぅゆっぐりじだいぃぃぃ・・・いだいのなんどがじでぇぇ・・・」 暇だし少しからかってやるか。 「なんとかしてやろうか?」 「「ゆ"ゆ"っ!」」 一斉にこっちを見るゆっくり。 「くそじじぃ・・・はやぐばりざざまをだずげるんだぜ・・・でないどいだいめみるんだぜ・・・」 「はやぐじでね・・・でいぶのがわいいあがぢゃんがみれなぐっでもいいの?」 こいつら・・・誰がこんなめにあわせたかもう忘れたのか? まあいいやこいつらの餡子脳に付き合っていたら時間がいくらあっても足りやしない。 「ああ、いい方法がある。・・・幽霊になればいいんだよ。」 「ゆうれい・・・?なにぞれ?」 「あ~なんていうか・・・すごくゆっくりしたゆっくりだけがなれる究極にゆっくりした状態・・・かな?」 「ゆ"、きゅうきょくにゆっぐり・・・?」 「ああ、そうすれば俺にも手出しはできないし、永遠にゆっくりできるんじゃないのかな?」 「ゆ"、どうずれば“ゆ~れい”になれるの・・・?」 「簡単さ、幽霊になりたいって強く念じながら眼をつぶるだけでいい。後の手順は俺がやってやるよ。」 「ゆっぐりりがいじだよ・・・ゆっへっへ、にんげんざんはばかだね!! まりざだぢはゆっくりをこえたきゅうきょくのゆっくりをてにいれるよ・・・」 「れいむたちはゆっくりをちょうえつするよ・・・。」 なんだか聞いたことがあるようなないようなセリフを吐いて眼を閉じる二匹。 なにやら必死に念じているようだ。・・・さて、動きも止まったのでさっさと踏み潰させてもらおう。 グシャ!! 「ゆべえっ!!」 グシャ!! 「ゆぼろっ!!」 見事にぺっちゃんこに潰れる二匹。間違いなく死んでいるだろうな。 さて、適当に思いつきで幽霊になればいいなんていったけどほんとうになったりするのかな? っていうかこいつらに魂ってあるのか? などと考えていたら、潰れた饅頭から何か白いものが出てきた。 「ゆ~どろどろどろ~・・・」 「ばけてでるよ~、おどろくの?しぬの?」 「うわっ、マジで出てきた!」 そこには憎たらしい顔と各々の飾り、あとよく幽霊がつける三角のやつ(天冠というらしい)のついた白い丸いものがゆらゆら浮かんでいた。。 「ゆっふっふ、まりさはゆ~れいさんなんだよ!どどろいたでしょ!!これでにんげんさんにもてはだせないよ!!」 「わかったらはやくおかしをちょうだいね!!れいむはおなかがすいたんだよ!!」 「ああ、わかった。・・・ホレ。」 俺は持っていた小さいキャラメルを地面に置いてやった。 「ゆっへっへ、ゆ~れいになったまりささまはむてきなんだぜ。あまあまさんいただくんだぜ・・・むぐむぐ・・・?」 「ゆゆ~ん♪さすがはれいむのまりさだよぉ~。じゃああまあまさんいただくよ・・・むぐむぐ。・・・ゆ?なにこれ?あじがしないよ?」 「ゆゆゆ!まりさもだよ!!やいくそじじぃ!!これはあまあまさんじゃないよ!!はやくちゃんとしたあまあまさんをちょうだいね!!」 「いや、違うよ。それはちゃんとしたキャラメルで甘いものだし。それに味がしないんじゃなくてお前らが食べることができてないだけだよ。 そら、ちゃんとそこにキャラメルあるだろ?」 男が指し示した場所には男の言ったとおりちゃんとキャラメルが原型のままあった。 「ゆ!ほんとだ!ゆっくりいただくよ!・・・むぐむぐ・・・どぼじでたべられないのぉぉぉぉ!!」 「そりゃ幽霊だからなぁ。この世の食い物は食えないんじゃないかな。」 「じゃあどうずればいのぉぉぉぉ!!」 「さあ?どうもしようがないんじゃないかな?」 「そんなのやだぁぁぁぁぁぁ!!」 じたばたと暴れる二匹だが実際俺にはどうしようもないことだしなぁ・・・。 ていうか幽霊だから物食わなくてもいいんじゃないのかね?教えないけど。 「ゆぎぃぃぃぃ!!まりざざまをごんなめにあわぜるばがなじじぃはじね!!ざっざどじね!!」 まりさがこっちにのろのろと突っ込んでくる。 「ゆ!いいよまりさ!!まりさのちょっといいところをれいむにみせてね!!」 「まかせてねれいむ!!」 しかしおそいなこいつら待ってるほうが疲れる。 ようやく俺にたどりついたまりさ。追突する直前に眼を閉じ防御体制をとる。 しかし、まりさのからだは俺のからだをスゥ・・・と通り抜けまりさはそれに気づかぬまま進んでいく。 「まりさーー!!うしろ、うしろ!!」 「ゆ?・・・ゆゆ!!きたないじじぃなんだぜ!!まりささまのこうげきをよけるんじゃないんだぜ!ぷんぷん!!」 そういって再び体当たりを試みるまりさ。だが何度やってもぶつかることはない。 「どぼじでぶつからないのぉぉぉぉぉ!?」 「まあ幽霊だからな。この世のものには干渉できないんじゃないか?」 「じゃあどうずればにんげんざんをだおぜるの!?」 「さあ?無理なんじゃないかな?俺もお前らを倒せないけど。」 「なにぞれぇぇぇぇ!!だまじだね!!ぐぞじじぃ!!」 「騙してないだろ俺には手出しできないんだから。」 「うるざいよ!!ごんなのぜんぜんゆっぐりでぎないよ!!」 ギャーギャー五月蝿いな。害はないとはいえあまりにやかましい。 そういえば前に読んだ漫画にお経で悪霊退散させるのがあったな。やってみるか。 「え~っとどんなんだったかな?確か・・・南無大慈悲救苦救難広大霊感うんたらかんたら・・・」 「「ゆぎゃあああああああああああ!!やべでえええええええええ!!」」 お、効いてる、効いてる。なんか上のほうが薄くなってきてる。 「オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカうんたらかんたら・・・」 「「ゆぎゃあああああああああ!!いだいいいいいいいい!!エレエレエレエレ!!」」 なんか吐いてる。・・・これ病気とかを治すときに言う真言だったと思うんだが・・・ 適当でもいいのかな? 「チャー○ーヘッチャラーうんたらかんたら・・・」 「「ゆげげげげげげげげg!!ゆ"っゆ"っゆ"っゆ"っゆ"っ・・・」」 痙攣しだした、何でもいいみたいだな。本当に適当な連中だ。 しばらくして回復すると 「もうゆ~れいさんはぜんぜんゆっくりできないよ!!まりさとれいむをさっさともとにもどしてね!!」 「そうだよ!!もどさないとひどいよ!!ぷんぷん!!」 「そういわれてもなぁ。お前等のからだはもうあんなんだし。」 そういってつぶれた饅頭を指差す俺。 「ゆ!なにいっでるの!!まりざざまのうつくしいからだはあんなにつぶれてないよ!!」 「じゃああの帽子にも見覚えないのか?れいむ、おまえは?あのリボンに心当たりは?額に生えた赤ゆっくりに心当たりはないのか?」 「ゆっ!!た、たしかにれいむのりぼんさんだよ・・・じゃあれいむはいまのれいむはなんなの!?」 「だから幽霊だよ。お前等は死んだの。」 「ゆ、じゃ、じゃああれはまりさっでごど?」 「そうだよ。」 「・・・ゆ、ゆぎゃあああああああああああ!!エレエレエレエレエレ!!」 「ば、ばりざあああああああああ!!エレエレエレエレエレ!!」 あらあら、まりさのもらい吐きでれいむまで・・・ていうか零体になってんのに何はいてるんだろう? そんなことを思っているとなんとれいむの死骸に生えていた赤ゆっくりがぷるぷると動き出した。 もしかして踏み潰したときの圧力で餡子が蔦まで行って成長促進されたのだろうか? ぷるぷるぷる・・・ぷちっ!! 「ゆっくちちていっちぇにぇ!!」 一匹目が生まれた、まりさ種だ。まだはいていた二匹もその声に反応してそちらを向く。 「ゆぅぅぅぅぅぅぅ!!おちびちゃん!!ゆっくりしていってね!!」 「さすがれいむのおちびちゃんだよ!!とってもゆっくりしているね!!」 二匹は赤まりさにすりすりをするが赤まりさのほうはきょとんとしている。 そうしているうちに次々と赤ゆっくりは生まれた。その数7匹。赤まりさが三匹、赤れいむが四匹だ。 う~ん、こいつらの意見に同意するのは不快だが生まれたてのゆっくりはなかなか可愛い。おもわず目をくりぬいてやりたくなる。 「「「「「「「ゆっきゅちちていっちぇにぇ!!」」」」」」」 「おちびちゃんたち!!ゆっくりしていってね!!」 「おちびちゃんたち、れいむがおかーさんだよ!!ゆっくりしていってね!!」 俺から見ると始めての親子の会話なのだが赤ゆっくりたちからするとそうではないようだ。 「ゆぅ?おきゃーしゃん?どきょにいりゅにょ?」 「かきゅれてないぢぇにぇ!!きゃわいいまりちゃがうまれちゃよ!!」 「れいみゅおにゃかへっちゃよ!!ごはんちょーだいにぇ!!」 どうやら赤ゆっくりには親子が見えていないらしい。 「ゆゆゆ!!おちびちゃんたち、おかーさんはここにるよ!!」 「そうだよ!!ちゃんとこっちをみてね!!」 しかしやはり赤ゆっくりには伝わらないらしい。しだいに赤ゆっくりたちも苛立ってきた様だ。 「にゃんじぇおきゃーしゃんたちいにゃいにょぉぉぉぉ!?」 「こんにゃにきゃわいいれいみゅたちをおいてどこいっちゃのぉぉぉ!!」 「やくたたじゅなおやはちね!!ちね!!」 「「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉぉぉ!!」」 やはりゲスの子はゲスか。 生まれたばかりだというのにもう口汚くなってるし。 「ゆゆ!!しょこにょおにーしゃん、れいみゅのおきゃーしゃんたちしらにゃい?」 ようやく俺の存在に気づいたらしく話しかけてくる赤ゆっくり。 「さぁ?俺は知らないなぁ?」 白々しくとぼけて見せる俺。と、親の二匹が抗議して来る。 「なにいっでるのぉぉぉ!?おちびちゃんのおかーさんはまりさたちでしょぉぉぉぉぉ!?」 「そんなこともわからないの!!ばかなの!?しぬの!?」 五月蝿い。 「南無大慈悲・・・以下略」 「ゆぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!」 「ゆべべべべべべべべべべべべべべ!!」 便利だなこれ。 そこに赤ゆっくりがまたしゃべり掛けてくる。 「じゃあおにーしゃん、かわいいまりちゃたちのためにごはんをもってきちぇにぇ!!はやくちてにぇ、ぐじゅはきりゃいだよ!!」 「いやだよ、・・・ていうかご飯ならお前等の後ろにたくさんあるじゃないか。」 「ゆ?ほんちょだ!あみゃあみゃなにおいがしゅるよ!!」 「なにいっでるのぉぉぉぉ!!ぞれはおかーざんだぢでしょぉぉぉぉぉ!!」 「たべちゃだめぇぇぇぇ!!ゆっぐりでぎないよぉぉぉぉぉ!!」 後ろの餡子の塊に向かっていく赤ゆっくりとそれを必死に止めようとする親二匹だが、二匹には止める術がないので結局・・・ 「「「「「「「む~ちゃ、む~ちゃ・・・ちちち、ちあわちぇ~♪」」」」」」」 「「ゆぎゃあああああああああ!!どぼじでだべじゃうのぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」」 赤ゆっくりたちはあっというまに二匹に群がりかなりの量を食べてしまった。 もうほとんど原型は残っていない。 「ゆぁぁぁぁ・・・ばりざのたくましいからださんが・・・」 「でいぶのぷりちーなおかおがぁぁぁ・・・」 赤ゆっくりたちは食べ過ぎたのかすでにおねむの時間のようだ。ゆ~ゆ~寝息を立てて寝ている。 するとそこに何かやってきた。 「う~う~!あまあまさんのにおいがするど~☆う~☆」 「「れれれ、れみりゃだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」 親の二匹は大声をあげて空中をのろのろと逃げる。だから必要ないというのに・・・。 「う~☆あまあまいっぱいだっど~☆」 その声に気づき二匹も引き返してくる。 「おちびちゃんたち!!れみみゃだよ!!はやくにげてね!!」 「れみりゃはゆっくりできないんだよ!!ゆっくりしてないでいそいでね!!」 当然、聞こえていないので赤ゆ達はゆ~ゆ~寝たままだ。 「おにぃぃぃざぁぁぁぁん!!おちびちゃんたちをだずげでぇぇぇ!!」 「なんでもじまずがらぁぁぁぁ!!おねがいじまずぅぅぅぅ!!」 こいつ等にこんなに子を思う気持ちがあるとは思わんかった。 とりあえずれみりゃに話しかけてみる。 「おい、れみりゃ!」 「う~?おにいさんなんだど~?」 二匹はなにかこちらに感謝のまなざしを向けている。赤ゆを救ってくれるとでも思っているのだろう。 「おのこしはするなよ。」 固まる二匹。 「う~☆わかってるんだど~☆えれがんとなおじょうさまはおのこししないんだど~☆う~☆」 「ゆああああああああああ!!ちがうでしょおおおおおお!!」 「はやぐおちびちゃんたちをたすけでえええええええええ!!」 無視。 そしてれみりゃの食事が始まった。 まず、赤ゆを一匹づつつかみ底部を傷つけ逃げられないようにしていく。 「ゆ~・・・ゆ~・・・ゆ?ゆぎゃ!!まりちゃのあちがあああああああ!!」 全部が済むと一匹づつ中身を吸い出していく。 「う~☆あまあまおいしいどぉ~☆」 「ゆぎゃああああああああああ!!まりちゃ・・すわれっ・・・もっ・・・きゅち・・・」 「「おちびちゃああああああああああああん!!」」 しかし三匹ほど吸い出すと残った四匹を一箇所に集め丸めて固めだした。 赤ゆっくりは死んではいないようだが痙攣している。 「おい、れみりゃ。そいつらどうするんだい」 「う~?れみりゃのおちびちゃんのごはんにするんだどぉ~☆」 なるほど、子持ちだったか。まあれみりゃは捕食種だし見逃してもいいか。 「そうか、じゃあ子育てがんばれよ~」 「う~☆わかったんだどぉ~☆」 そういって飛び立っていったれみりゃ。 「ゆああああああああああああああ!まっでええええええええ!!」 「あがぢゃんおいでげええええええええええ!!」 今は同じく飛べる二匹だが速度がまるで違うし追いつけたところでできることもないだろう。 すぐにあきらめたようだ。 「あああ、れいむのおちびちゃんが・・・」 「まりさとれいむのあいのけっしょうが・・・」 さて、そろそろ飽きてきたし俺も帰るか。そう思って立ち上がると 「ゆ!じじぃ!どこいくんだぜ!!」 「れいむたちをこんなふうにしたせきにんをとっでね!!」 「そんなの知らないよ。お前たちがなりたいって行ったんだから自業自得だろ。」 「「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉぉ!?」」 そしてそのまま帰る俺。とはいっても村はすぐそこだが。 「まっでぇぇぇ・・・おいでぐなぁぁぁ・・・」 「までぇぇぇぇ・・・まだないにんげんはじねぇぇぇぇ・・・」 面白いのでそのまま村の前まで追いかけさせてやった。 「ま、まっでぇぇぇ・・・・ぜぇぜぇ・・・」 「おいでぇぇぇ・・・いぐなぁ・・・・ぜぇぜぇ・・・」 霊体の癖になんで疲れるんだよ。なんとか村の前に来たゆっくり。、 しかしそこで 「ゆべっ!!」 「ゆぎゃ!!」 まるでそこに壁があるかのように吹っ飛ぶゆっくり。 「ゆぅぅぅ・・・なんでかべさんあるのぉぉぉ・・・」 「いだいよぉぉまりざぁぁぁぁ・・・」 「それは壁じゃないよ。結界だ。」 「「ゆ?」」 「さすがに強いのには効かないが知能の低い低級な霊や妖怪が入れないように結界がしいてあるんだよ。」 「まりざはでいぎゅうじゃないぃぃぃぃぃ!!」 「そっぢにいれろぉぉぉぉぉ!!」 「うるせぇ糞饅頭。ずっとその辺で彷徨ってろ。」 俺はさっさとそこを後にした。 「「ああああああああああ!!まっでえええええええええええ!!」」 残された二匹の幽霊饅頭は絶望したこれからどうすればいいのだろう。 なにをすればいいのかまったくわからない。 「ゆぅぅぅぅぅぅぅ!!でいぶぅぅぅぅぅぅぅ!!ごれがらどうじよぉぉぉぉぉ!!」 「わがらないよぉぉぉぉぉ!!なんどがじでよぉぉぉぉぉ!!ばりざぁぁぁぁぁ!!」 ゆーゆー泣いているとなにか近くの空間が歪んで来た。 「ゆ・・・?なに?」 するとそこから何かが出てきた。 「ふっふっふ、地獄のそこからやってきた。不撓不屈の虐め魂を持つ男・・・虐待おにーサッ!!」 なにやら白装束を着た頭に三角をつけた男が腰を低くし両手を広げて出てきた。 「な、なんなのぉぉぉぉおにいざん!!」 「ふははは!!ゆっくりどもよ!!ようこそこちらの世界へ!!地獄でもさんざん虐めぬいてやるからな!!覚悟しろッ!!」 「「やだぁあぁぁああああああああああああ!!」」 男は再び高笑いを始め二匹の幽霊ゆっくりを捕まえ空間に消えていった。 そして二匹のゆっくりは虐待おにーさんによって死んでもゆっくりできないのでした。 あとがき 最近書いても書いても書きたいことの軸がぶれてしまい消しては書き直しの連続です。 一応これはなんとかなったと思うので楽しんでいただけたなら嬉しいです。 作者 甘党 今まで書いたもの ゆっくりコールドスリープ ゆっくりを効率的に全滅させるには。 ユマンジュゥ きれいなゆっくりの作り方 ゆっくり達のバザール ゆっクエ あるゆっくり達の冬篭りと甘い罠 ラジコンうーぱっく 笛吹き男とゆっくり
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/266.html
3人の少年が、水の無くなった乾いた田んぼで遊んでいた。 年齢は3人とも8歳、まだあどけなさが残る顔立ちをしている。 彼らは里の寺子屋での学習を終え、家に帰る途中であった。 「何かして遊ぼう」 「何する?」 寺子屋での勉強の後は、気の合う友達同士で道草をして遊びながら帰るのが日課だった。 さきほどから田んぼの真ん中で鬼ごっこをしていたが、それも飽きた頃だ。 「何か面白いことないかな?」 少年の1人が辺りを見渡す。 トンボでもいれば引きちぎって遊ぶというのに、あいにく何も空に飛んではいなかった。 では爆竹を詰め込むカエルはいないかな、少年が地面に目を移すと、田んぼの先にある森の入り口で動くものを発見した。 ゆっくりだ。 少年はすぐにその正体を見破った。 「タケちゃん!シンちゃん!あそこあそこ!ゆっくりがいる!」 タケちゃんと呼ばれた少年と、シンちゃんと呼ばれた少年は、指差す先を見た。 「おお!コウちゃんよく見つけたね!あれで遊ぼう!」 3人は遊ぶ対象を確認すると、暗黙の了解なのか、合図もせずにしのび足で森へと近づいていく。 森に近づいていくと、だんだんとゆっくりの姿が鮮明になっていく。 2匹のゆっくりがいる。 ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙、つがいのスタンダードな組み合わせだ。 3人は目でその事実を互いに確認すると、フォーメーションを展開した。 1人は大きく迂回しゆっくりの背後に回り、1人は正面からいつでも飛び込めるよう身を隠し、1人は逃げ道となりそうな場所をおさえた。 背後から近寄っていた、先ほどタケちゃんと呼ばれていた少年は、2匹の後頭部のすぐ手前までやってきた。 (こんな近くにいるのに気が付かないなんてバカなやつらだなあ・・・) 思わず笑ってしまいそうになるのをぐっとこらえた。 ふと後頭部を見ると、ゆっくり霊夢の頭から茎が生えていた。 子供持ちのゆっくりは、まず逃げられない。 茎が折れて子供がダメになってしまうことを極端に恐れるためだ。 (コウちゃん、こいつらは余裕だよ・・!) タケは正面待機のコウに向かって手招きをした。 これは「いける」という合図だ。 それを見たコウは、ゆっくりと正面から2匹に近づいた。 「2匹とも、ゆっくりしてる?」 ゆっくり2匹の注意が正面のコウに向く。 その一瞬を見逃さず、タケは勢いよく前方に飛び込み、ゆっくり魔理沙を押さえつけた。 「ゆぐっ!?!?」 「ゆっ!?ま、まりさっ!?」 ゆっくり霊夢がパートナーの異変に気が付くが、既にゆっくり魔理沙はタケの腕にがっちりと抱え込まれていた。 「お前も捕まるんだよっ!」 コウがゆっくり霊夢を捕まえようと駆け寄るが、途中で速度を緩める。 「なんだ、子持ちか。タケちゃんがそっち捕まえとけば逃げないね」 子持ちゆっくりは、パートナーがいないとエサを確保できない。 そのため、パートナーを確保されると母体を努めるゆっくりは逃げられないのである。 それに逃げるといっても茎を折らないようにゆっくり逃げるのだ、その速度はたかが知れている。 「おーい、シンちゃーん!もう捕まえたよー!!」 2人が声を上げると、生い茂る草の中からシンが現れた。 「なーんだ、子持ちだったのか。逃げ道封鎖は必要なかったね」 抱え込まれながらも暴れるゆっくり魔理沙と、困惑するゆっくり霊夢を見て落胆の声をシンは上げた。 「必死で逃げるのをトッ捕まえるのが楽しいのに」 わきわきと指を動かすシン。 「まあまあ、今日はコイツでカンシャクしようよ」 「今日は負けねーぞ!コウ!」 「俺だって、今日は負けないかんね」 頭の上で交わされる会話を理解できないのか、ゆっくり魔理沙とゆっくり霊夢は表情を曇らせた。 3人は2匹のゆっくりを森の入り口から連れ出し、農道の土の上に降ろした。 「ゆっ!離してくれてありがとう!!まりさたちはゆっくりかえるね!」 「れいむも帰るよ!ゆっくりさようなら!!」 2匹がそそくさと帰ろうとするので、タケはイタズラに使う道具袋から縄を取り出した。 その行動を見ていたシンがまりさを摘み上げる。 「ゆっ?まりさ達はおウチに帰るんだからゆっくり離してね!」 そんな訴えも無視し、シンはまりさを逆さまにしてタケに突き出す。 タケはまりさの低部をつまみ、思い切り引っ張った。 まりさの表情を壊しながら皮が伸びる。 「ゆっぎゅううう!!!いだいよおおおおお!!!」 気にすることなく、タケは伸びている底部を包むように縄を何重にも巻き、蝶結びをする。 まりさの底部だった部分は、全て縄に巻き込まれた。 これは少年達が近所のお兄さんに教えてもらった、ゆっくりの体を傷つけずに動きを封じる方法だ。 通常、ゆっくりの動きを封じるには箱に入れたり、底部をアルコールランプで炙るなどの方法が取られる。 しかし、箱はかさばって持ち運びに不便であり、火で炙る方法は確実であるが治すとなると時間がかかる。 その点、底部縄縛り法は縄一本でできる上に後遺症も少ない。 シンが縄縛りの完成を確認すると、まりさを乱雑に投げ落とした。 「ゆぎゅっ!!」 まりさが顔から地面に落ち、妙な声を上げる。 「ゆっ!まりさをイジめないでね!!!おにいさん達はゆっくりできない人だよ!!」 れいむが少し離れた位置から抗議する。 離れてはいるものの、逃げる気配はない。 パートナーを置いて逃げることはないのだ。 「ゆっぐぅ!!もうおウチ帰る!!!」 そのパートナーが体を起こし、跳ねようとした。 「ゆっ!?」 ころん、と転がるまりさ。 底部が縛られているため、飛び跳ねることはおろかバランスを保つことすら難しいのだ。 起き上がり、跳ねようとして倒れる。 そんなことを繰り返す姿は、まるで達磨のように見えた。 「どうぢで飛べない゙の゙お゙ぉぉぉぉお゙お゙お゙!!!?!?」 縄は伸びた底部が戻ったときに巻き込まれ皮に食い込んでいるので、多少の動きではズレることすらない。 「うるさい!」 タケが地面の砂を握ると、まりさの口にねじ込み無理矢理咀嚼させた。 「ふん゙も゙っふぉお゙お゙おおおお!!!!」 吐き出そうとするのを押さえつけ、砂を次々に口内へと流し込む。 これで少しは静かになるだろう。 まりさの動きを封じたことを確認すると、コウがれいむを捕獲し、まりさの隣に置いた。 「まりさを離してあげてね!!いまなら許してあげるよ!!!」 空気を含み、自身の体を大きくして威嚇するれいむ。 しかし、れいむの言うことなど気にもとめない3人は茎に実った赤ちゃんゆっくりを数え始めた。 いつ生れ落ちてもおかしくないプチトマトサイズが11匹。 れいむ種が5匹、まりさ種が6匹だ。 「よし、カンシャク勝負だな!」 シンが茎に実った赤れいむを指でこすり始める。 目を閉じたまま、赤れいむはきゃっきゃと笑い始めた。 「ゆ!れいむの赤ちゃんは可愛いでしょう!ゆっくり触らせてあげるからまりさを放してね!!」 指をさらにこする。 すると、赤れいむが地面に落ちた。 「ゆっ!?れいむの赤ちゃんが生まれたよ!!まりさ!!見て!すごくゆっくりした赤ちゃんだよ!!」 「ゆゅううう!!!足が痛いけど、すごく嬉しいよ!!!」 シンは、次の赤れいむを指でこする。 それもまたすぐに地面に落ち、シンはさらにもう1匹の赤れいむを落とした。 「ほい、人数分」 生れ落ちた赤れいむは3匹。ちょうど1人1匹に割り当てられる。 「ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくりしていってね!!!」 2匹の親ゆっくりは、生れ落ちた赤れいむ達に必死に声を掛けている。 生れ落ちたものの、3匹はまだ第一声をあげていない。 その3匹を、3人の少年は1匹ずつ手に取った。 「ゆ?いま赤ちゃんが起きるところだよ!ゆっくりやめてね!!はやく返してね!!!」 手のひらの上には、目を開きつつある新しい命があった。 それを軽く握り、少年達は固い地面の上に移動する。 「じゃあいくぞ!カンシャク勝負!」 タカが声を上げ、3人は勢いよく腕を振り下ろした。 手から放たれたのは、まだ第一声もあげていない赤れいむ。 高速で投げ出された赤れいむは、踏み固められた土に叩きつけられ「パチっ!」と小気味の良い音を立てて破裂した。 放射状に飛び散った餡子が、甘い香りを漂わせる。 カンシャク玉とメンコからヒントを得て少年達が作った遊びだ。 「ゆっ・・・・!!?どうしたの!!?何の音!?」 位置関係で少年たちの行動が見えなかった親まりさが心配そうな声を上げている。 逆に、全てを見せ付けられた親れいむは一瞬、声も出ずに口をぱくぱくさせていたが、すぐに大声を上げた。 「ゆ゙あ゙あ゙あぁぁ゙ぁあ゙っ!!!!れ゙い゙む゙のあがぢゃんがあああああああ!!!!!!」 涙をこぼし、大声で泣く親れいむをよそに、少年達は筆箱から竹のモノサシを取り出し、飛び散った餡子の大きさを測っていた。 「よっしゃ!!俺は直径15cmだぞ!そっちはどうだ!?」 「ああっ!負けたあー!!俺は12cm!ちょっと勢いが足りなかった」 「今日は俺の勝ちだな!!20㎝はあるぞ!!」 シンが勝ち誇り、放射状に飛び散った餡子を指差す。 「でけー!!」 「しかもすげー円に近いな!いい形してる!」 我が子の飛び散った跡を見て喜ぶ少年達に、親れいむは憤りを隠せない。 「おにいさんはゆっくりできない人だよ!!ゆっくり死ね!!!!」 この状況で敵を煽るあたり、危機感の欠片もない生き物だ。 「なあなあ、この茎に付いてるゆっくりって目が開いてないじゃん?これ無理矢理開いたらどうなるのかな」 「おもしれー!ちょっとまぶたを切り落としてみよう」 コウが鉛筆削りに使うナイフを取り出し、茎に実る赤ゆっくりに接近する。 親れいむが逃げようとするが、タケに後頭部を踏まれて動けなくなった。 「ピッチリと閉じてるなあ。小さいし、失敗するかも」 「失敗したら違うのでやればいいよ。いっぱいいるし、ちょっとくらい失敗しても大丈夫」 「聞いたか饅頭。動いたらその分、子供がグチャボロになるからな」 「どぼじでぞんなごどずるのぉぉぉぉお!?!?!?」 「れいぶのあがぢゃんをいぢめないでえええええ!!!やめでええええ!!!」 2匹の叫びもなんのその、少年たちの好奇心は止まらない。 コウの握るナイフの先端が、赤れいむの瞼に近づく。 「切るよ!」 ナイフが瞼に触れた瞬間、赤れいむは痛みを感じたのか大きく揺れ動く。 「ああっ!!」 反動で戻ってきた赤れいむに、深々とナイフが突き刺さった。 「ぴっきぃぃぃぃぃっ!?!?!?」 甲高く、鼓膜を突き破るような赤れいむの鳴き声が辺りに響く。 あわててコウがナイフを抜くが、小さな赤れいむはそのまま動かなくなった。 「れいむ゙のあがぢゃんがあ゙あああああ゙ああ゙ぁぁっ!!!!」 「ばりざのあがぢゃんがああああっ!!!!」 茎でゆっくりと誕生を待っていた赤れいむは、そのまま永遠にゆっくりしてしまった。 額に大きな穴が開いた赤ゆっくりを、コウは思い切り握り潰す。 茎に餡子にまみれた紅白のリボンだけが残った。 「失敗、失敗。ちゃんと手で押さえないと動いちゃうな」 「次はちゃんと切れよ~」 「コウちゃん、ヘッタクソだなあ~」 頭部の茎を見上げ、ぼろぼろと涙をこぼす親れいむ。 なんとか少年達に攻撃をしようと必死に体を起こそうとする親まりさ。 そんなことなどお構い無しに、コウの左手が赤れいむを掴んだ。 茎に実ったれいむ種はこれが最後の1匹になる。 「ゆっ!!れいむと同じ姿の赤ちゃんはもうその子だけだから、ゆっくりやめてね!!」 「お願いだからやめてね!赤ちゃんとゆっくりさせて!!!」 掴まれたことに違和感を覚えたのか、赤れいむが目を閉じたまま表情に疑問符をつけた。 コウは左指に赤れいむの動こうとする力を感じたため、掴む力を強くして動かないようにする。 「上の部分を切り落とせばいいんだよねー」 右手に持ったナイフが、赤れいむの左目の瞼の上部を滑る。 抵抗の感じない切れ味、しかしそれは確実に皮を切断していた。 「ん?切れたと思ったんだけど・・・?」 赤れいむの瞼に変化はない。 コウがナイフの先端を瞳の膨らみを感じる部分に引っ掛け、下に滑らす。 「おっ!取れた!」 水分で密着していたようだ。 小さな瞼がコウの手に移る。 「ほらこれこれ、上手いこと切れたろ!」 1辺が3mmほどの瞼がそこにあった。 「すげー!」 「上手いこと取れるもんだなあ」 しかし、むき出しになった赤れいむの左目に生気は感じられない。 まるで目を開けて眠っているようだ。 コウは同じ要領で、右目の瞼を切り落とした。 「んー?全然動かないな」 「やっぱ茎から取れないと喋らないのかな?」 「ついでに茎から取っちゃえば?」 親れいむは、悪魔が頭上にいるような錯覚を起こした。 泣いても、叫んでも、懇願しても、この3体の悪魔は耳も貸してくれない。 待ち望んだ子供達、一緒にゆっくりするはずだった赤ちゃんは、すでに4匹も殺されてしまった。 泣いてもどうにもならない。 しかし親れいむは溢れる涙をこらえることができなかった。 「指擦りして茎から外すか」 シンの人差し指が瞼の無い赤れいむに触れようとした瞬間、それは起こった。 「・・・っくち!・・ゆっくちちていってねっ!!!」 さっきまで生気のなかった赤れいむの目に輝きが生まれ、声を上げたのだ。 「「ゆっくりしていってね!!!」」 それと同時に2匹の親ゆっくりは茎の上の赤れいむに最初の声を掛ける。 待ち望んだ第一声をようやく聞くことができたのだ。 親まりさは憤怒の表情から一転し、笑顔になった。 「おおっ!!生れ落ちる前に喋ったよ!」 「すげー!!」 「いつものお兄さんに後で教えたら喜ぶかなー」 茎に実りながら喋る赤れいむに感動を覚える少年達。 「じゃあ、もうコイツは落とすからね」 シンは人差し指を赤れいむに押し当て、こすり始めた。 頬から始まり後頭部、そして頭頂部を刺激する。 「ゆっ♪ ゆっ♪ くちゅぐったいよっ♪ ゆっくちぃ~♪」 赤れいむが嬉しそうにはしゃぎ、それを見た親ゆっくりも今までのことを忘れたかのように優しい顔になる。 「ゆーん!すごくゆっくりした赤ちゃんだね!」 「お母さん達と一緒にいつまでもゆっくりしようね!!」 「ゆ!ゆっくち!おかあさんとゆっくち!」 シンが赤れいむをこする速度をあげる。 次の瞬間、成体ゆっくりの「すっきりー!!!」にも似た表情を見せて赤れいむは地面に落ちた。 「ゆっ!もう少ちゆっくちしたかったのに!」 不満気に少年達を見上げる赤れいむではあったが、親れいむの頬擦りを受けるとすぐにご機嫌になった。 「ゆふ~ん!すりすりだよ!お母さんとずっとゆっくりしようねっ!!」 れいむ種唯一の生き残りということもあるだろう、親れいむは心の底から誕生を祝っているようだ。 「まっ、まりさも赤ちゃんとすりすりしたいよっ!!!かわいい赤ちゃん、すりすりしようね!!」 達磨状態の親まりさが赤れいむを呼んでいる。 それに答えるように赤れいむは跳ね寄り、頬擦りを始めた。 親れいむは少し残念そうな顔をしたが、最愛のパートナーと赤れいむの頬擦りを見るとすぐに笑顔を戻す。 「ゆっ・・!?」 しかし幸せな時間は長く続かない。 何かに異変を感じたのか、赤れいむが震えだした。 「ゆっ!?どうしたの!?ゆっくりしてね!!」 「ゆっくりしようね!震えてたらゆっくりできないよ!!」 少年達はすぐに赤れいむが苦しむ原因が分かったが、親ゆっくりは気が付いていなかった。 「ゆ!おめめがいちゃいの!!ゆっくちできないよっ!」 赤れいむの目には瞼がない。 瞬きもできない赤れいむの目は、ゆっくりと乾燥しつつあった。 「いちゃいっ!!おめめがいちゃいよっ!!おかあさんゆっくちさせて!!!」 乾燥から守るため、赤れいむの目には涙が溢れた。 「ゆっ!ゆっくり目を閉じてね!!そうすればゆっくりできるよ!!!」 餡子脳からは切り落とした瞼のことなど一時の幸福で吹き飛んでしまったようだ。 「ゆうっ!とじてるのにっ!!!とじてるのにおかあさんがみえるよぉっ!!!」 なんとか瞼を閉じようとする赤れいむだが、無いもので蓋はできない。 眉間にシワを寄せて必死になる顔が、先ほどまで笑顔であったとは信じがたい。 「おい、目が痛いなら舐めてあげろよ。親なんだろ」 「そうだぞ。痛い所は舐めてあげな。痛みが引くぞ」 「ゆっ・・・!」 憎たらしい人間の言うことをそのまま受け入れるのは癪であったが、ケガをしたときに傷口を舐めるのはゆっくり達の間では常識だ。 親まりさは舌で赤れいむの目を舐めた。 「ゆっきゅぁあああっ!!!いちゃいよっ!!いちゃいいいいぃぃぃ!!!」 「ゆっ!我慢してね!!すぐ痛くなくなるからね!」 親まりさは懸命に赤れいむの目を舌で舐める。 最愛の我が子の痛みを和らげてあげたい、そんな思いから舌に力が入る。 「ゆぎぎぎいいい!!!!めが!めがあああああ!!!!」 一向によくならないことに親まりさは疑問を感じ、舌を止めた。 それに自分と赤れいむを見て笑っている少年達が不思議だったのだ。 親まりさは赤れいむの目を見た。 「ゆっ!?」 赤れいむの目はところどころ餡子が漏れ始め、傷だらけになっていた。 「どうじでえええ!?!?!?ぢゃんど舐めだどに゙ぃぃぃいいいいい!!!?!!?」 分からなかった。 どんなケガをしても大抵舐めれば応急処置になった。 舐めて傷口が悪化することなど、自分の生きてきた中で一度もなかった。 親まりさの頭が混乱する。 「ゆっ!?なにもみえないよ!!まっくらだよ!おかあさん!ゆっくちできないよお!!」 目の前で泣き叫ぶ赤れいむの目は、光を失っていた。 「どうじでえええ!?!どうじでれいぶのあがぢゃんがあああ!?!??」 赤れいむが失明したことだけは理解できたのだろう、親れいむが泣き叫んだ。 それを見て笑っていたシンが親れいむに話しかけた。 「おい、れいむ。あのまりさにちょっと舐めてもらってみたらどうだ?あいつのベロが悪いのかもよ?」 何がなんだか分からないまま、親れいむは親まりさの所に運ばれた。 「まりさ、ちょっとれいむを舐めてね!」 「ゆ!?まりさは普通に舐めただけだよ!」 ぺろん、と優しく親まりさは親れいむの頬を舐めた。 「ゆぎゅっ!痛いよ!まりさのベロが痛いよ!」 「ゆ!?そんなことないよっ!」 親まりさが否定するが、舐め終わった親れいむの頬には擦り傷ができていた。 「まりざ!ちょっとベロを見せてね!!」 垂れた親まりさの舌を凝視する親れいむ。 そして、なぜ親まりさの舌が痛かったのか、その原因を突き止めた。 「まりさのベロに砂がいっぱい付いてるよ!!こんなベロで舐められたら痛くてゆっくりできないよ!!」 そう、さきほど底部を縛られた後に無理矢理食べさせられた砂。 あれが舌に残っており、それがヤスリのような役目をしてしまったのだ。 繊細な目をヤスリ舌で舐めまわして失明するのは、当然の結果だった。 「ばり゙ざがぞんな汚いベロで舐めるがらあ゙かぢゃんの目が見えなぐなっだんだよ゙ぉぉ゙!!!!」 攻める親れいむの言葉から、状況を察したのだろう、赤れいむも声を荒げる。 「おがあざんのせいでれいむはなにもみえないよっ!!!ゆっくちできない!!おかあさんはゆっくちちね!!」 2匹の容赦ない罵倒に、親まりさはごめんごめんとつぶやくだけで反論することはなかった。 「よし、じゃあ残りのを全部落とすか」 抵抗しない親まりさに飽きたのか、タケが親れいむの茎に実った赤まりさに指擦りを始めた。 親まりさを攻めることに忙しい親れいむは気が付かない。 親の醜い争いを真下にしながら、赤まりさは擦られることにニコニコと笑みをこぼす。 次々に赤まりさが茎から外れるが、地面に落ちる前に回収していたため親れいむは気が付かなかった。 「ほい、6匹誕生~」 茎に実った赤ゆっくりは、全て無くなった。 タケの掌には、目を開けようとしつつある赤まりさが6匹。 それを親ゆっくりに見えない位置に隠して2匹に話しかける。 「おい、お前らの巣はどこにあるんだ?」 タケのほうを振り向く2匹は、まるでオネショがバレそうになった幼児のような表情を見せた。 その隙に盲目となった赤れいむをコウが回収したのだが、2匹はそんなことに気が付く余裕もない。 「ゆゆっ!まままままっまままっままりさたちのおウチはなななななななな無いよっ!!?!?!?」 「れ、れいむ達はたまたまたまたまたまたまあそこでゆっくりしてただけだよっ!!!」 「あそこらへんに巣があるってよ」 頭に茎を生やしたゆっくりが、外に出ることなどあまりないことだ。 赤ちゃんに日光浴をさせることが稀にあるくらいで、ほとんどは外敵の危険の少ない巣で妊娠中は生活する。 その日光浴でさえ巣のすぐ近くで行い、遠出はしないものなのだ。 少年達がゆっくりを見つけた時、この2匹は野外でゆっくりしていた。 「せっかくだからどんな巣か見てみたいな」 あの付近に巣があることは、明白であった。 「じゃあ、僕がこの2匹を見張ってるから、ちょっと探してきてよ」 そう言ったのはシンだった。 夫婦喧嘩の果てに、愛想を着かして親れいむだけが逃げ出すことを心配しての判断だ。 「んじゃちょっと探してくる」 「シンちゃん頼んだよー」 コウとタケが、こっそり持ち出した1匹の盲目れいむと6匹の赤まりさをつれて、森の入り口へと歩いていった。 「そっぢには何もないよっ!!!バカなお兄さん達はごっぢにもどってぎでね!!!」 「バガだね!!!なにもないよっ!!!」 2匹が必死で気をそらそうとしているが、コウとタケは森の入り口へと向かってしまった。 「これだね」 2匹を見つけた場所。 そのすぐ近くに草でカモフラージュした巣穴があった。 「案外大きいね。僕でも入れたりして」 巣穴の直径はマンホールほど。 斜めに掘り進んでいるようで、中は暗くて見えなかった。 「ちょっと奥に入ってみるから」 8歳の少年、コウはその小柄さを生かし、頭から巣穴に突っ込んだ。 巣穴の奥に入った手を無造作に動かす。 「お、なんかある」 手の先に触れたのは、固いもの。 それを掴み引っ張り出そうとすると、何かが手にぶつかってきた。 柔らかい感触。 「あ、ちっちゃいゆっくりに体当たりされたかも」 「バカな奴らだな」 巣穴から出てきたのは壺だった。 どこからか盗んできたのだろう、コウの頭より一回り大きい壺だ。 中には虫の死骸や、草など、ゆっくりの保存食と思われるものが大量に入っていた。 壺を取り出す最中、ずっと体当たりをしていたゆっくりは見当たらない。 奥に隠れているのだろう。 「まだ子供がいたんだな。当たった感触だとこれくらいかな」 コウがタケに見えるように手で丸を作った。 大きさはソフトボールくらい、子ゆっくりサイズだ。 「ゆっくりしていってね!!!」 コウが巣穴に向かって大声で叫ぶ。 『ゆっくりしていってね!!!』 巣穴からヤマビコのように声が返ってきた。 敵に声を返すとは、愚かな生き物だ。 「美味しいお菓子があるよ!ゆっくり出てきてね!!」 タケの誘い文句も慣れたものだ。 お菓子と、ゆっくり、この言葉があれば警戒心の強い親はともかく、子ゆっくりはホイホイと出てくる。 この巣穴にいた子ゆっくりも同じで、すぐに巣穴から顔を出した。 「ゆゆっ!?おいしいおかしをちょうだいね!!」 「はやくおかしをだしてね!!」 「ここはれいむたちのおうちだよ!!おきゃくさんはおかしをよういしてね!!!」 現れたのは予想通りソフトボールほどの大きさのゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙。 数はゆっくり霊夢が4匹、ゆっくり魔理沙が3匹だ。 最後に出てきたゆっくり魔理沙は、少年達を警戒しているようだ。 しかし所詮は餡子脳。 甘いものを出せばイチコロである。 「あっちでみんなのお母さんとお菓子を食べてるんだよ」 「だからゆっくりついてきてね。お菓子はいっぱいあるからゆっくりできるよ!!」 「ゆっ!おかあさんもゆっくりしてるんだね!!すぐにいくよ!!」 コウがバカ7匹を引きつれて親の元へと戻った。 一人残ったタケは、巣穴に壺の中身をぶちまけ、入り口に石をみっちりと詰め込んだ。 コウが7匹の子ゆっくりをつれて戻ると、2匹の親ゆっくりが絶望した顔でお出迎えしてくれた。 「ゆゆっ!!どうして出てきちゃったの!!?」 「外に出たらダメって言ったよね!?なんで約束を破るの!?」 親ゆっくりが子ゆっくりを叱るが、子ゆっくりは悪気も無い様子で反論した。 「ゆ!おかあさんたちだけでおかしをたべるなんてずるいよ!!」 「まりさもおかしたべてゆっくりするよ!!」 「ひとりじめはやめてね!!」 その言葉で、どうやって子ゆっくりを誘拐してきたのか理解したようだ。 コウは隠し持っていた盲目れいむのリボンを外し、7匹の子ゆっくりの前に置いた。 「ゆっ!れいむのあかちゃぶぴっ!!!???」 余計なことを言おうとする親れいむの口をコウが押さえつける。 それを見たシンは、親まりさの口を押さえつけた。 「ゆゆっ?おにいさん、おかあさんをいじめないでね!!」 「この親はみんなのお菓子を食べようとするから押さえつけてあげたんだよ!」 「そうだよ、みんなはそのお菓子をゆっくり食べてね!」 コウとシンは片手で盲目れいむを示した。 その言葉に顔を青くする親ゆっくり。 子ゆっくりが、自分の妹を食べてしまう。 なんとかそれを阻止しようと暴れるが、人間の力には叶わなかった。 しかも、暴れる姿は子ゆっくり達にとってはお菓子を食べようとしている強欲親に映るだけだった。 「ゆ!そんなにおかしをひとりじめしたいんだね!!」 「ひどいよ!!」 「おかあさんはなんでゆっくりさせてくれないの!?」 心無い言葉を親ゆっくりに浴びせかける子ゆっくり。 そして親の思いも露知らず、盲目れいむに噛み付き始めた。 「ゆっぎいぃぃぃ!!!!いちゃいよっ!!!みえないよ!!こわいよっ!!たべられてるよっ!!!」 ソフトボールサイズの子ゆっくりにとって、プチトマトサイズの盲目れいむなどたいした量ではない。 あっという間に体は減っていく。 「ゆぎぃ・・・もっどゆっくちしたかったよ・・・」 子まりさが最後の一口を食べ、盲目れいむは見事に食された。 残ったのはコウの手に握られたリボンと、少しの皮と髪の毛だけ。 コウは親れいむを開放した。 「ゆ!!どうじでみんな赤ちゃんを食べちゃうのおおお!!?!?!?みんなの妹なんだよおおおお!!!!??」 子ゆっくり達は、妹達の誕生を楽しみにしていたのだ。 日々大きくなる赤ゆっくりを見上げ、ゆっくりしようと声を掛け続けていた。 親れいむの頭に上り、より近くで赤ゆっくりに声を掛けたこともあった。 最近では、赤ゆっくりがその声にも反応するようになり、子ゆっくりはとても嬉しそうであった。 『もうすぐいっしょにゆっくりできるね』 『おねえちゃんがあかちゃんに いーっぱいゆっくりをおしえてげるね!』 昨晩はそんなことを言っていた。 その待ち望んだ赤ちゃんが、今は腹の中へと納まっている。 「ゆゆっ?なにをいってるの?いまのはただのおまんじゅうだよ!」 「そうだよ!くやしいからってうそをいわないでね!」 「あれはおまんじゅうだよ!ゆっくりりかいしてね!!」 ゲラゲラとゆっくりうどんげのような笑い声を上げる子ゆっくり達に、親れいむは悲しくなる。 「ゆ゙っゔううゔぅぅうゔ・・・」 しかし、これはこれでいいのかもしれない。 食べられてしまった赤れいむには申し訳ないが、いまさら生き返ることはないのだ。 わざわざ妹を食べたことを教える必要はないのではないか。 そんな餡内を見透かしたのか、コウがわずかに残った盲目れいむの残骸の上にリボンを落とした。 「ゆっく・・・!?」 「ゆっ・・・!」 パズルのピースが綺麗にはまったかのような感覚を、子ゆっくり達は感じた。 このリボンは、毎日自分達が見上げていたあのリボン。 このリボンは、毎日自分達が話しかけていた子のリボン。 このリボンは、毎日自分達が待ち望んでいた妹の・・・ あのお饅頭は、毎日自分達が・・・・ 「ゆきっぃぃぃ゙ぃぃ゙ぃっ!!!!!」 「ゆきゃああ゙あ゙ああ゙あっ!!!」 「れいぶのいぼーどがぁあ゙あぁぁぁぁっ!!!!」 全てを理解した子ゆっくり達が必死にお饅頭を吐き出そうとするが、出てくるのは少しの胃液(?)とヨダレだけだった。 続く このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/556.html
「ゆっくり記念日」(前編) 飼い犬に手をかまれた、というか、飼いゆっくりに手をかまれたと言うべきなのか。 とにかく僕は、上昇する怒りのボルテージに打ち震えていた。 「ゆ!!おにーさん!!おかえりなさい!!」「きょうもゆっくりしていってね!!」 目の前で跳びはねているのは、ゆっくりまりさとゆっくりありす。 その声色は、こっちがイラつくぐらいにうれしそうだ。 だが、そいつらの姿は僕の目には入ってこない。僕は…別のものを見ていた。 「こ、これは…」 倒された花瓶。本棚から投げ出された本。 割られた皿。ばら撒かれた食料。フローリングの床にブチまけられた庭の土。 挙げればきりがない。これでもかというぐらい徹底的に、僕の部屋は荒らされていた。 そして…僕が最後に目にしたもの。それは…ちょうど一年前の写真だった。 その写真には一年前の僕と、まりさ、そしてありすが横に並んで写っている。 しゃがみ込んだ僕がまりさとありすに挟まれるようにして、3人にこやかな表情をしていた。 今でも覚えてる。手持ちの三脚ではまりさとありすが写らないので、わざわざ小型の三脚を買ってきたのだ。 『おにーさん!!これなあに?』 『これはカメラといってね、写真を撮るものだよ』 『しゃしん!?しゃしんってなあに?ゆっくりできる?』 『あぁ、ゆっくりできるとも。あのカメラに向かってにっこり笑ってごらん』 パシャッ! 『ほうら、見てごらん』 『ゆゆ!!まりさかわいい!!』『ありすもかわいいよ!!』 出来上がった写真を見せてやると、2人はとても喜んでいたっけ。 『3人でずっとゆっくりしようね!!』 そんな3人が出会った日の、思い出の写真。ちょうど一年前の、思い出の写真。 その写真が、無残にも破かれていた。 僕の顔も、まりさの顔も、ありすの顔も、念入りに破かれていた。 ご丁寧に写真立てを破壊して、中から取り出して、踏みにじるようにくしゃくしゃにして。 何度も何度も繰り返し引きちぎって、細切れにして…そんな風に、破かれていた。 そんなバラバラになった写真を見て、僕は一年間のまりさたちとの思い出が…踏みにじられたような気がした。 「おにーさん!!まりさたちのおうちでゆっくりしていってね!!」 「ありすのとかいはのおうちだよ!!ゆっくりくつろいでね!!」 2人の、いや…2匹の“自分の家”宣言で我に返った。 こいつらはこの写真を見て何も思わなかったのだろうか? 一年前の、僕らの写真を見て…感慨にふけるとか、懐かしいとか、そういう感情を抱かなかったのだろうか? これまでこいつらに接してきて、僕は不思議でならなかった。 この2匹は以前の飼い主の教育の結果か、野生とは比べ物にならないぐらい礼儀正しく、 他人に対して思いやりのある心を持ったゆっくりだった。 まりさとありすは、互いを尊重しあっていた。喧嘩をしたり、貶しあったりなど絶対にしなかった。 まりさは生来のずる賢さを持っていたが、それが原因でありすを傷つけることなどなかった。 ありすは発情期になっても鋼の理性を持ってまりさに接し、決して強引な交尾をすることはなかった。 それら全ては、まりさとありすが愛し合っていたからこそだ。 2匹は信頼し合い、飼い主である僕をも信頼していた。 そして、僕も2匹を信頼していた。 今日のつい数分前までのことであるが。 「僕は間違ってるのか?」 「ゆ!?おにーさん!!げんきだしてゆっくりしてね!!」 僕が間違っていたのだろうか? こいつらに、一年前の写真を見て懐かしむとかいう…そういう人間らしい感情を期待した僕は間違っているのだろうか? 間違っていたのだろうな。そうでなければ、この写真はこんな状態では存在していないはずだ。 「そうか、僕の勘違いか」 「おなかすいたよ!!ゆっくりごはんよういしてね!!」 あまりにもこいつらの出来がいいので、勘違いしてしまった。 僕の中に一種の幻想があったのだ。思い込みという名の幻想が。 こいつらとなら、きっと理解し合える。こいつらは、普通のゆっくりとは違う。 それは勘違いだったのだ。こいつらには人間らしさなど欠片もない。 所詮は、ただの畜生だったのだ。ただの、ゆっくりだったのだ。 「……出て行けよ」 「ゆっ!?」 それはある意味、こいつらを思いやっての発言だった。 このまま2匹がこの家に居座るなら、僕はこいつらを殺しかねない。 そうならないための、僅かながらの配慮だ。 「まりさのおうちでゆっくりしていってね!!まりさたちもここでゆっくりするからね!!」 「それよりもおなかすいたよ!!おにーさん!!とかいはのごはんをちょうだいね!!」 「いいから出て行けよッ!!」 目の前で自分の家宣言し、さらに食料まで要求し始める始末。 今もなお、どすんどすんと荒れ果てた部屋の中で楽しそうに跳びはねている。 「まりさとありすはここでゆっくりするよ!!おにーさんもゆっくりしていってね!!」 「おにーさんひとりじめしないでね!!ありすだってここでゆっくりするんだからね!!」 こんなのを…こんなのを、僕は一年間も飼っていたっていうのか…? …あぁ、もういいや。こいつらは畜生に成り下がったのだから…僕も畜生に対する接し方をすればいいや。 「ゆぎゅえぶうううぅぅ!!!」 その瞬間、ありすの隣からまりさが消えた。 直後通過する僕の足。その風圧で、ありすの金髪が靡いた。 「ゆ?」 ありすは、何が起きたのか理解できていない様子。 僕は親切に、後ろを指差してやった。 そこには、壁に張り付いて口から餡子を吐き出しているまりさがいた。 「ゆ!!……ゆべえ゛え゛え゛ぇぇぇぇぇぇ!!」 「まりさア゛ア゛ア゛あ゛あ゛あ゛ああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 壁から剥がれ落ちたまりさに駆け寄って、傷をなめるありす。 まりさはびくびくと痙攣しているが、死には至っていない。 「お゛……おにーざん゛……どうぢで…?」 「おにーさん!!まりざになにずる゛の゛!!そんなのどがいばのずるごとじゃないよ゛!!」 涙目になって訴えるありす。僕は無表情のまま、そいつらを見下していた。 「そうか…じゃあ、お兄さんの部屋をこんな風にするのは、都会派のすることなのか?」 「ゆ!そ、そうだよ!!おにーさんのおへやをとかいはのこーでねーと」 「もうウンザリだ!!さっさと出て行けよッ!!」 僕の怒鳴り声に、ありすの言葉が止まった。 さっきから開け放たれたままの窓。僕はその外を指差した。 外は既に夕方。街灯なんて親切なものはない。 周りは森林に囲まれていて、いつ野生生物に襲われるかもわからない。 「いやだあ゛あ゛あ゛あ゛あああぁぁぁぁぁぁぁ!!!おにーざんどゆっぐりずるのおおおぉぉぉ!!」 都会派らしからぬ、ありすの駄々のこねっぷり。 くねくねと身体をひねっている。本当に気持ち悪い。 そうこうしているうちに、まりさが回復してぷくっと膨れて威嚇してきた。 「おにーさん!!ゆっくりあやまってね!!いまならゆるしてあげるよ!!」 「まりさのいうとおりだよ!!とかいはのありすが、とくべつにゆるしてあげるよ!!」 「同じことを何度も言わせるな。お兄さんは出て行けと言っているんだ」 威嚇を続けるまりさに歩み寄って、上から鋭い目で見下す。 「それとも、一生ゆっくり出来ないようになりたいのかな?」 “一生ゆっくり出来ない” それは、ゆっくりすることを最大の目的として生きているゆっくりにとって、最悪の未来。 僕の言葉の意味を正確に捉えたのか、“ゆっくり出来ない”の部分だけ理解したのか、どちらかわからないが。 「ゆ、ゆっくりしたいよ!!おねがいだからゆっくりさせてね!!」 「ありすもゆっくりするの!!とかいはのひとはゆっくりしてすごすんだからね!!」 「もう、一度しか言わない。ここから出て行け。出て行かないなら、二度とゆっくり出来なくしてやる」 そこらへんに転がっていた灰皿を手に取り、大きく振り上げる。 まりさとありすは、その僕の動作を見て一瞬震えた後…お互いの顔を見合わせた。 「ゆぅ!ここじゃもうゆっくりできないね……おにーさん!!さようなら!!」 「さようなら!!ずっとゆっくりしていってね!!」 「あぁ、二度と戻ってくるなよ」 やっと出て行く気になったらしい。 やつらは僕に背を向けて庭に飛び出し、そのまま去っていく。 時折こちらを振り向いて名残惜しそうにしているが…しばらくすると、2匹の姿は完全に見えなくなっていた。 ゆっくりと…振り上げた灰皿を下ろす。 さて、まずはこの部屋の片づけをしないとな。 大体部屋を片付け終えたのは、2匹を追い出してから2時間後だった。 部屋の惨状のわりに、壊れていたものはそれほど多くなかったので、そういった意味での損失は最小限で済みそうだ。 残されたのは、テーブルの上の写真だけだ。破られたままの破片を一箇所に集めただけだが。 いまさら繋ぎ合わせる必要も無いな。後で捨てよう。 外は雨が降っている。驚くことは無い、予報どおりだ。 予報によればこれから明日にかけて強い雨が降り続けるらしい。 そして、3時間後。 豪雨の音に混ざって別の音が聞こえたので、庭のほうで耳を澄ましてみると… 「おにーさん!かえってきたよ!!」 「あめがふってきてゆっくりできないよ!!ゆっくりおうちにいれてね!!」 5時間程前に追い出したはずの、まりさとありすだった。 先ほどまでそこらへんでゆっくりしていたが、雨が降ってきたので帰ってきたということだろう。 その声を聞いた瞬間、静まりつつあった怒りが再燃するのを感じた。 「おにーさん!!ぬれちゃうよ!!ぬれたらゆっくりできないよ!!」 「ゆっくりなかにいれてね!!なかにはいらないとぬれちゃうよ!!」 しばらくの間放っておくことにする。 僕の怒りが伝わっていなかったようなので、この機会にゆっくりと理解してもらおう。 「なかにいれてよ!!このままだとしんじゃうよ!!」 「とかいはのありすは、あめのひはおうちのなかですごすんだよ!!だからなかにいれてね!!」 なかなか喧しい声が止まない。諦めて去っていく気配も無い。 こいつらは、『二度と戻ってくるな』という僕の言葉をたった5時間で忘れてしまったのだろうか。 「ながにいれでぇ!!ごのままじゃゆっぐりできなぐなるう゛!!」 「おねがいじまずうぅぅぅ!!!ながにいれでぐだざいいい゛い゛い゛!!」 だんだん必死になってきた2匹。 僕は沈黙したまま、2匹の声に耳を傾ける。 「も、もうだめえええぇぇぇぇ!!!ゆッぐりでぎなぐなるうううぅぅぅぅぅ!!!」 「おにーさん!!まりさが!!まりざがああああぁぁぁぁぁ!!」 「もっと…おにーざんのおうぢで……ゆっぐりじだがっだよぉ…!」 数分後には、2匹の声は聞こえなくなった。 この豪雨なら2匹の残骸も綺麗に流してくれるだろう。 そう、僕と2匹の思い出と共に… 翌朝。カーテンの隙間から差し込む日差しで、僕は目を覚ました。 どうやら雨はもうあがったらしい。ガラス越しに眺める空は、見事に晴れ渡っていた。 「さて…」 朝食後にやらなければならないことがある。 まりさとありすの残骸がどうなったか、確認することだ。 あれだけの豪雨だったから、少量の餡子など綺麗に洗い流されているはずだが… ガララララ! 窓を開け放った途端、僕は唖然とした。 そこには…どこから持ってきたのか、泥水で濡れた透明なビニールシートが敷かれている。 不自然にバレーボール大の2つの盛り上がりが出来ていた。 そして…中から飛び出してきたのは、昨日のまりさとありすだった。 「やっとなかにはいれるね!!」 「おうちのなかでゆっくりしようね!!」 一体何が起きたのか、わからなかった。 こいつらは昨日の豪雨で、綺麗に流されたんじゃなかったのか? 僕がぼーっとしているうちに、2匹は跳びはねながら意気揚々と中に入ってきた。 「やっとまりさたちのおうちでゆっくりできるね!!」 「おにーさんはいじわるだね!!でもごはんをもってきたら、とくべつにゆるしてあげるよ!!」 まったく悪びれる様子もなく笑うまりさと、ぷくっと膨らんで威嚇してくるありす。 だが、僕の驚きはこれで終わりではなかった。 「いまだしてあげるからね!!そとでゆっくりしようね!!」 「ゆっくりでてきてね!!ここならみんなでゆっくりできるよ!!」 そう言って、2匹は口を大きく開けた。 すると、2匹の口の中からそれぞれ5匹ずつ…合計10匹の赤ちゃんゆっくりが出てきたのだ。 内訳は、ちょうどまりさ種とありす種が5匹ずつ。 「ゆっきゅりー!」「ゆっくいー!!」「ゆっくいしていってね!!」 「ありしゅ!ゆっくりちていってね!!」「まりしゃもゆっくりちていってね!!」 広い部屋に興味津々の赤ちゃんゆっくりたちは、それぞれ気の赴くままにゆっくりし始めた。 どうやら、豪雨の深夜にビニールシートの下で交尾をして、早朝に出産したらしい。 口の中に入れていたのは、はしゃぎ回ってビニールシートから出てしまうのを防ぐためだろう。 開いた口が塞がらない僕のもとへ、親である2匹がにこにこしながら跳ねてくる。 昨日までは僕の心を和ませていたその笑顔が、今はとてつもなく憎たらしい。 「まりさとありすのあかちゃんだよ!!ゆっくりかわいがっていってね!!」 その赤ちゃんはというと… 部屋中に四散して花瓶の花をかじったり、灰皿をひっくり返して中の灰をばら撒いたり、 タンスを開けて僕の服を涎まみれにしたり、キーボードの上で跳びはねて壊したり… 一番僕の怒りをかきたてたのは、僕の財布からお札を取り出し、口に含んでは『まじゅいよ!!ぺっ!!』と 涎にぬれて千切れてしまった高額紙幣を吐き出した、2匹の赤ちゃんゆっくりだった。 …もうダメだ。なるべく穏便に終わらせようと思っていたが、我慢の限界だ。 「ありすのあかちゃんかわいいでしょ!!とくべつに、ゆっくりかわいがってもいいよ!!」 「お前ら…ふざけてるのかッ!!!」 バン!!とテーブルを強く叩く。 その音に、合計12匹のゆっくり親子は驚いて固まった。 ぽかんとした顔で僕を見つめている赤ちゃんゆっくりたちに至っては、 すっかり怯えてしまってその場で泣きはじめてしまった。 「ゆびゃああああぁぁぁぁぁ!!おにーじゃんがおごっだああああぁぁ!!!」 「ごわいよおおおぉぉぉ!!ゆっきゅりできないよおおぉぉぉ!!!」 「ゆっ!!なかないでね!!おかーさんがゆっくりさせてあげるからね!!」 まりさは泣き喚いている赤ちゃんゆっくりをあやすために、部屋中を駆け回り始めた。 一匹を泣き止ませてはまた一匹、とバラバラの場所で泣いている赤ちゃんに一匹ずつ対応している。 もう一方の親であるありすは、再び身体をぷくぅっと膨らませて僕に涙目で抗議してきた。 「ひどいよおにーさん!!あかちゃんがこわがってるよ!!ゆっくりあやまってね!!」 「「「「「ゆっきゅりあやまってね!!」」」」」 ありすの抗議の後、赤ちゃん10匹による合唱が続いた。 どうやら、こいつらは自分達が悪いことをしているという自覚がないらしい。 ゆっくりするためなら何をやってもいい…こいつらの餡子脳は、そう思ってるに違いない。 …もう諦めよう。口で何を言っても無駄だ。 昨日まで仲良く過ごしてきたから、情が移っていてどうしても自分で手を下せなかった。 僕の中にそういう甘えがあった、それは事実だ。でもそんな考えは、もう捨てよう。 僕は、僕自身の手で…こいつらに最大限の罰を与えることにした。 「ゆ!?ゆっくりはなしてね!!」 いつの間にか子供たちとゆっくりしていたまりさを、頭の上から掴みあげる。 まりさはぷるんぷるんと身を揺らして、僕の手から逃げ出そうとするが…そんな力で逃げられるわけがない。 「おにーさん!!おかーさんをゆっくりはなちてね!!」 「これじゃゆっくいできないよ!!おかーさんになにするの!!」 「何って…楽しいことだよ」 そう言って僕が取り出した透明な箱を見て、ゆっくり一家は一箇所に固まって怯え始めた。 逃げ回る赤ちゃんゆっくりを捕まえるのは、決して難しいことではないが面倒だ。 僕はまず、両親であるまりさとありすを捕まえて、自作の透明な箱に閉じ込めてやった。 この箱には空気穴よりも大きな穴が開いていて、赤ちゃんゆっくりなら通り抜け可能だ。 「ゆぐっ!!ゆっくりここからだしてね!!いまならゆるしてあげるよ!!」 「とかいははひろいところでゆっくりするんだよ!!ここじゃゆっくりできないよ!!」 箱には数センチの余裕があるため、喋ることもできるし少しなら跳ねることもできる。 だが、ちょっと跳ねる事が出来たとしても…ゆっくりの数倍の重量がある箱を動かすことは出来ない。 そんな親の周りに群がって、赤ちゃんゆっくりたちも僕を見上げて文句を言い始めた。 「おかーしゃんをここからだちてね!!」「ゆっくりだちてあげてね!!」 「おにーさんとはゆっくりできないよ!!おかーさんをたすけたらどっかいってね!!」 「じゃあ、誰かお母さんと替わってあげる?誰かがあの中に入るなら、お母さんは出してあげるよ」 …途端に、赤ちゃんゆっくりたちは黙り込んでしまった。 何か言いたそうにお互い顔を見合わせているが、結局何も言わずに僕に視線を戻した。 そうだろうな。口では助けろとか言うけど、自分が犠牲になってまで助けたくないよな。 「そうかそうか、皆はお母さん達なんか放っておいて、自分達だけでゆっくりしたいんだな」 「ゆ!!そうじゃないよ!!おにーさんがおかーさんをたちゅければいいんだよ!!」 「じゃあ助ける代わりに、君があの箱の中に入ってよ。簡単なことでしょ?さあ入ってよ!」 そう言って、一匹の赤ちゃんまりさの背中を押して透明な箱に近づけていく。 中に入っているまりさとありすは、悲しげな目でその赤ちゃんを見つめていた。 赤ちゃんまりさは…耐え切れず、本音を漏らした。 「ゆっ……まりさははこのなかにはいりたくないよ!!おかーしゃんたちはずっとはこのなかにいてね!!」 「フフフ、そうだよなぁ。まりさはお母さんのこと嫌いだもんなぁ。だから助けたくないんだよなぁ」 赤ちゃんまりさを押す手を止めた。 両親はどこか安心したような、残念そうな、複雑な顔をしている。 「ゆっ……ゆぐっ…うぅ!!」 反論したいのだろうが、反論すればまた箱の中に入れと言われる。 分かっているから、赤ちゃんまりさは何も口答えしない。生まれたてなのになかなか賢いな。 それは周りの赤ちゃんゆっくりも同じだ。自分が抗議すれば、自分が代わりになれと言われるに決まってる。 すっかり静かになってしまった赤ちゃん達。 両親が箱の中から、ゆっくりしていってね、と静かに呼びかけても反応しなくなった。 「さて、皆はお母さん達のこと嫌いみたいだから、あんなの放っておいてゆっくりしようね!!」 僕が用意したのは、赤ちゃんサイズのゆっくりがぴったり収まるであろう、透明な箱だ。 蓋を開けて、横倒しにして床の上に置いておく。 「それじゃ皆で楽しく競争しようね!あの箱の中に一番早く入った人は、すっごくゆっくりさせてあげるよ!!」 「ゆ!ゆっくり!?」「ゆっくりちたいよ!!」「ゆっくりさせてね!!」 もう両親のことはどうでもよくなったのだろう、赤ちゃんらしいはしゃぎっぷりだ。 僕は床にテープを一直線に貼って、10匹の赤ちゃんゆっくりを横一列に並べた。 「ここがスタートラインだよ!お兄さんが『よーいどん!』って言うまでここから出ちゃダメだからね! ここからはみ出たズルい子は、ゆっくりできなくなっちゃうよ!」 「ゆ!まりしゃぜったいずるしないよ!!」「ありしゅもとかいはだから、ずるしないよ!!」 スタートラインに並んで、目的の箱を真剣に見つめる10匹の赤ちゃんゆっくり。 「それじゃ行くよ!……よーい、どん!!」 「ゆっくりぃーー!!!」「ゆっくりいそぐよ!!」「ゆっくりどいてね!!」 10匹の赤ちゃんゆっくりが一斉にスタートし、一目散に箱の中を目指す。 焦りすぎてこけたり、2匹のゆっくりが押し合って顔が面白く歪んだり…見ていて面白い。 箱の中の両親ゆっくりも、子ゆっくりが楽しそうにしている姿をみて暢気に微笑んでいる。 さっきまでの深刻そうな表情は、どこかへ行ってしまったようだった。 そして… 「ゆっくりいちばんだよ!!」 一匹の赤ちゃんまりさが箱の中に入った。僕は即座に蓋を閉じる。 2番目以降の赤ちゃんゆっくりは、勢いあまって箱に激突し、痛みに涙を滲ませていた。 「ゆぐぐぐ!!ずるいよ!!まりさがいちばんになるんだよ!!」 「ありすがゆっくりするのぉ!!だからゆっくりそこからでてきてね!!」 「ゆゆゆ♪ゆっくりぃ~♪」 文句を言い始める9匹の赤ちゃんゆっくり。それに対し、箱の中のまりさは余裕の表情。 こうして蓋をされた箱の中にいれば、箱のゆっくりに危害を加えられることもないからだろう。 「おにーさん!!あのこだけずるいよ!!まりさもゆっくりさせてね!!」 「ありしゅもゆっくりしたいの!!いっしょにゆっくりさせてね!!」 「そうかそうか、皆もゆっくりしたいか…じゃあ多数決で決めようか!!」 「たすうけつ?それってゆっくりできるの?」「そんなのいいから、みんなでゆっくりしようね!」 さすがに多数決という言葉は知らないのだろう。 箱の中の赤ちゃんまりさだけでなく、外の9匹の赤ちゃんゆっくりも首を傾げている。 「箱の中の子だけゆっくりするか、外の子だけゆっくりするか、皆で決める方法だよ!!」 「みんなできめるの!?すごーい!!」「それならゆっくりできるね!!」 何がすごいのか、何がゆっくりできるのか、僕には理解できない。 箱の中の赤ちゃんまりさも、これから何が起こるか分からないくせにわいわい喜んでいる。 別の場所で箱詰めされたままの両親も、危機感をまったく感じずにニコニコしている。 まったく、こいつらときたら…これから起こる悲劇も知らずに… 「じゃあ始めるよ!箱の中の子だけゆっくりすればいいと思う人は、ゆっくり跳ねてね!!」 「ゆっくりぃー!!」 すると、箱の中の赤ちゃんまりさ一匹だけがぴょんぴょん跳ね始めた。 外の9匹は『そんなのずるいよねー!』『ねー!』と言い合うだけで跳ねようとはしない。 「ゆゆ!!みんなもはねてよね!!まりしゃがゆっくりしゅるんだからね!!」 そんな身勝手な要求に応える赤ちゃんたちではなかった。 「“箱の中の子だけゆっくりする”がいい人はひとりだけ!うーん残念♪」 「ゆー!!ひどいよおおおおおぉぉぉぉぉ!!!」 「さて“外の子だけゆっくるする”のがいい人は、ゆっくり跳ねてね!!」 「「「「「ゆっくりぃー!!!!」」」」」 今度は、箱の中以外の9匹の赤ちゃん全員がぴょんぴょん跳ね始めた。 「はい決定!!多数決の結果、“外の子だけでゆっくりする”ことに決まりました!!」 僕が宣言すると、箱の外の赤ちゃんゆっくりがわいわいはしゃぎ始める。 そんな様子を見て、箱の中の赤ちゃんまりさは滝のような涙を流して喚き始めた。 「ぞんなのずるいいいいいぃぃぃぃぃ!!!まりしゃもそとでゆっぐりじだいいいいぃぃぃぃぃ!! ごごがらだじで!!まりざもゆっぐりずるの゛!!みんなだけじゅるいいいいいいぃぃぃ!!!」 「でも、皆で決めたことだから仕方ないよね!!」 「そうだよ!!まりさだけゆっくりするのはずるいよ!!」 「ねー!ありすだってゆっくりするんだから!!」 先ほどとは立場が正反対になってしまった。 一番に箱の中に入ったまりさは、多数決で『ゆっくりできない』と決められてしまったのだ。 さっきまで自分だけがゆっくりできるはずだったのに…酷い話である。 ま、しょうがないよね!皆で決めたことだもんね!と、僕は箱に収まった赤ちゃんまりさを持ち上げた。 「ゆ!?ゆっくりだしてね!!まりしゃもゆっくりするよ!!」 「残念ながら君はもう二度とゆっくりできないよ」 言いながら、僕は箱の蓋を開けて赤ちゃんまりさを片手で掴んだ。 そして、未だ箱に収まっている両親にもよく見えるように振り上げて… 「せーのぉ…」 「いや゛あ゛!!ゆっぐりはなじでぇ!!!!あぎゃーぢゃあああああああああん!!!」 (続く) 作:避妊ありすの人 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/695.html
『色つきゆっくりの結末』 今日は夏祭りだ。 ゆっくりを使った出店を開こうと朝から加工場に赴いて複数のゆっくりを買ってきた。 買ったのは飼育ルームで食品加工用に育てられていた子ゆっくり達。 箱入りゆっくりなので人の恐怖は知らないし、野生ゆっくりの食べる虫や雑草も「なにそれ、たべものじゃないよ」というお嬢様ぶりだ。 加工場も自分の出身地程度の認識しかなく、箱に詰められて俺に運ばれている時も他のゆっくりプレイスに行けるとしか思っていなかった。 「よし、みんな着いたぞー」 「ゆっくりしていくね!!!」 箱に詰めていたゆっくり達を工房の奥、柵で囲まれた場所に出していく。 ゆっくり達の顔はぎゅうぎゅう詰めから解放されてすっきりーな表情をしている。 三箱分のゆっくりを柵の中に放つと広めにとった柵の中も窮屈になってしまった。ゆっくり達から不満の声が上がる。 「これじゃゆっくりできないよ!」 「もっとひろいところがいいよ!」 「まえのおうちはもっとひろかったよ!!」 俺に向かって60匹近くのゆっくり達が口々に叫んでくる。煩いことこの上ない。 しかし明日の縁日で売り物にする以上この程度は我慢しなければならない。 「みんなゆっくり聞いてね」 「ゆっ!」「なに?」 「ごはんのじかん?」「ゆっくりたべさせてね!!」 加工場の職員にある程度の躾がされているようで俺の言葉を無視しなかった。 野生のゆっくりだったら「そんなことより~してね!」の文法でイライラさせてくれただろう。 「今からみんなの帽子とリボンを綺麗にしてあげるからね。一匹ずつりぼんと帽子を貸してね」 「ゆ!?」 「ぼうしはだめだよ!」 「りぼんもだめだよ!」 「ゆっくりできないよ!!」 さすがに自分の命ぐらい大事な飾りを始めて会った人に渡さないか。 アイデンティティーに関わるから同然と言えば同然だな。 「すぐに返すから大丈夫だよ。それに綺麗な帽子やリボンになったらすごくゆっくりできるよ」 「ゆ…でもいやだよ!」 「そんなことしなくてももともととかいはよ!」 「ゆっ! じゃあまりさのぼうしをかしてあげるよ!!」 「なにいってるのまりさ! ゆっくりできないよ!!」 「だいじょうぶだよ! にんげんはいつもゆっくりさせてくれてたもん!」 「ゆ…」 一匹のまりさの言うことに周りのゆっくり達は押し黙る。 確かに人間に嫌な事をされたことがないのだろう。 野生ゆっくりの嫌がる加工場での規則正しい生活もこのゆっくり達にとっては産まれたときからなので苦ではなかった。 「よし、じゃあまりさから綺麗にしてやるからな」 「ゆっくりきれいにしてね!!」 俺は柵の中から一番に帽子を貸してくれると言ったまりさを取りだすと帽子を借りた。 そしてすぐそこにある絵の具でまりさの帽子を黒から紫に染めていく。 帽子についてる白いリボンは染めないよう予め外してある。 「ゆ! まりさのぼうしになにやってるの!!」 「何って、綺麗にしてるんだよ」 「でもちがういろになってるよ!!」 「ははは、被せてあげるよ」 ご都合物理学によってすっかり紫色に塗り替わった帽子をまりさに返してあげた。 そして鏡で自分の姿を映してあげる。 「ゆっ!? まりさがきれいになったよ!」 「だろう? まりさには紫の帽子がよく似合うよ」 「うふふふふふ。きれいになっちゃった~」 ご満悦のまりさを柵の中に返すと他のゆっくりが紫帽子のまりさを羨望の視線を向けていた。 「ゆ~! いいなまりさ! すごくこせいてきだよ!」 「ゆっくりおしゃれだよ!!」 「な、なかなかとかいはね!」 「むきゅ~、ぱちゅもおしゃれしたいわ」 「うふふふふふ」 まりさは他のゆっくり達にも褒められて嬉しそうだ。 他のゆっくり達は俺の方に向きかえると一斉に綺麗にしてとお願いしてきた。 「ああ、いいとも。皆おしゃれにしてあげるからね」 早速次のゆっくりを柵から取り出して飾りを染めていく。 今日の夕方までにはこいつらの飾りを全部染めてやらないといけないので二匹目以降は黙々と作業を続けた。 ゆっくり達はゆっくり達で、綺麗になった仲間を褒めたり自分の姿に悦になったりしていた。 昼飯も食べずに頑張った結果、夕方までには全部のゆっくりの飾りを染め終えていた。 柵の中には黄色や緑、青に白。様々な色の飾りをしたゆっくり達がどこか誇らしげにゆっくりしていた。 そろそろ出店の準備をしなきゃいけないのでゆっくり達に話しかける。 「それじゃあ外にでかけようか。外の皆におしゃれな姿を見せに行こう」 俺の言葉にゆっくり達は瞳を輝かせた。 「ゆっくりみせにいくよ!!」 「そとのみんなにもきれいなすがたをみせようね!!」 「きっとしっとしちゃうわよね!!」 それにしてもこのゆっくり達ノリノリである。 それもそうだろう。オシャレは他に見せてこそオシャレだ。 ゆっくり達は自分の姿を自慢したくて仕方がないのだろう。 俺はそんなゆっくり達を最初入っていた箱に再び詰めると祭りの会場へと運んでいった。 祭りが始まる頃には俺の出店の準備もほとんど終わった。 最後に「色塗りゆっくり」の看板を取り付け、一匹200円の値札も柵に張り付ける。 後は広い透明な柵に飾りを染めたゆっくり達を放って準備完了だ。 工房の柵に比べてやや広い柵の中でゆっくり達は通りに向かってふんぞり返っていた。 「さぁみんなわたしたちをゆっくりみてね!!」 「おしゃれでうらやましいでしょ!! ゆっくりしっとしてね!!」 「とかいはのほんりょうはっきね!! もでるしょーよ!!」 「しこっていいのよ!!」 しかし目の通る人々は通りがかりに一目視線を向けるだけだ。 飾りの色が変わっただけのゆっくりを褒めるものなどいない。 「ゆっくりできないね!!」 「わたしたちのよさにわからないいなかものなのよ!」 「そうだね! せんすのいいひとはすくないんだね!!」 人をイラつかせるこいつらの言葉に店の前を通る人々は少なからずイラっとしていた。 こいつらを喋らせない方が良かったかな。 なんて考えだした頃、お客第一号が来てくれた。 「すいませ~ん、一匹欲しいんですけど」 「あーい。どのゆっくりが欲しいですか?」 「このれいむと、あとやっぱりまりさもセットで」 「二匹ですね。400円になります」 爽やかなお兄さんの指差したれいむとまりさをそれぞれ透明な箱に入れて渡した。 この様子を見たゆっくり達からは不平が上がる。 「ゆ! どこにつれていくの!!」 「いくらかわいいからってゆうかいしないでね!!」 「おにいさんたすけてあげてよ!!」 煩いゆっくり達に俺は優しく声をかける。 「皆はゆっくり出来る場所に連れて行かれるんだよ。オシャレなゆっくりだから連れて行かれるんだよ?」 その言葉を聞いて喜んだのはお兄さんに買われた二匹だ。 「ゆっ! じゃあれいむがいちばんのおしゃれだったんだね!」 「まりさもおしゃれだからつれていかれるよ!」 「「かわいくてごめんねー!!」」 そんな事をいいながら二匹は連れていかれた。 余談だが、あの二匹を買ったお兄さんの家はいつも餡子の香りがすることで有名だったりする。 残ったゆっくり達はここに来てようやくお互いにライバル心が芽生えたようだ。 「つぎはとかいはのありすがえらばれるにちがいないわ!」 「いいえ! しゅくじょのぱちゅよ!」 「ちがうよ! みんなのあいどる、れいむだよ!!」 「まりさをわすれてこまっちゃこまるぜ!!」 さっきまでは君も綺麗だね、いえいえ貴方こそ…の関係だったというのにね。 でもこっちの方がゆっくりらしくて良いね。 次のお客が来た。 近所の寺小屋に通う女学生だ。 「きゃー、か~わいい~!」 「飾りの色違いとかちょーやばいんですけど!」 「おじさーん、一匹ちょうだい!」 おじさんとはなんだと思いながら女学生の選んだゆっくり達を箱に入れて渡す。 選ばれたのはありすとまりさ、そしてぱちゅりーだ。女学生はそれぞれ自分の見た目に似たゆっくりを選んだようだった。 「やっぱりとかいはのありすがつぎにえらばれたわね!」 「むきゅ、いなかものはそこにいればいいのだわ」 「まりさをえらぶなんてめがたかいぜ!!」 「きゃ~、きも~い!」 「きもいのが許されるのはゆっくりまでだよね~」 「きゃははははは」 女学生らはきもいきもい言いながらゆっくり達を連れていった。 きっと明日には捨てるんだろうなぁ。 次のお客さんは見るからに怪しいお兄さんだった。 色つきゆっくり達を涎を垂らしながら眺めていた。ハァハァと息も荒い。 「あ、あの…どのゆっくりをご希望で?」 冷やかしだったらとっとと帰ってもらおう。 「れいむたんとまりさたん!」 「はぁ」 「どっちも三匹ずつね!」 「1200円になります」 ハァハァ可愛いよれいむ、可愛いよまりさなんて言いながら怪しいお兄さんは去って行った。 後にあのお兄さんが「ゆっくりは俺のオナホール」が信条の男だと聞いた。 買われていったゆっくりも可哀想に。さすがに同情せざるに得ない。 次は着物を着た少女が来た。 「あの。このお金で全部のゆっくりをくれませんか? お釣りはいりません」 確かにお釣りが出るほどのお金。それに全部のゆっくりが一気に売れる。 断る理由はないな。 「それとこの場で叩き潰してもいいですか?」 「…は?」 この目の前の少女はなんといった? 叩き潰す? いや、まさか。こんな可憐な美少女がまさかそんな。 「えっと、よく聞こえなかったからもう一度いいかな?」 「この場でゆっくりを叩き潰してぶちまけていいですよね?」 「すみません何匹かただであげるので帰ってください」 不満そうな顔をしたが半分近くの子を無料であげたら笑顔で去って行ってくれた。 危ないところだった。この子がアッキュンだったのか。 いくら売ったと言っても目の前で虐殺されるのは勘弁だ。 祭りにそんなの見たくないってのもあるし掃除が面倒だしね。 そんな感じで俺の用意したゆっくり達はほとんど連れていかれた。 れいむが一匹残ったが、もうお客もまばらなので諦めて店じまいをすることにした。 というか大半を無料であげて赤字なので残る一匹が売れようが売れまいがどうでもよかった。 「ゆっぅぅ…なんでだれもかってくれないのぉぉ!!! こんなにおしゃれなのにぃぃぃ」 最後のれいむはオシャレなゆっくりから消えると伝えた状況で残ったので泣き叫んでいた。 黒髪に灰色のリボンが余り映えなかったせいだろうなぁ。 色を染めた俺のせいでもあるのでれいむを自由にさせてやることにした。 泣きわめくれいむをゆっくりの住む森へと連れていく。 しかしリボンが灰色のままでは可哀想なので森に向かう前に工房に寄って 最初に売れたれいむと同じ色である黄色にリボンを染めてあげると泣きやんで喜んでくれた。 ゆっくりの森に着くとれいむを地面に置く。 ここなら他のゆっくりもいて存分にゆっくりできるしオシャレも褒めてもらえるだろう。 「さぁ、れいむ。今日からこの森で暮すんだ」 「ゆっゆぅ? ここどこ? ゆっくりできるの?」 「森だよ。他のゆっくりもいるからゆっくりできるはずさ」 「ゆ! れいむはここでくらすよ!!」 「ああ、それじゃあなれいむ」 「ゆ! おにいさんまたね!!」 れいむは元気よく森へと跳ねていった。 きっと幸せになれるさ。あーでも、加工所出身で狩りを知らないんだっけ。 ま、他のゆっくりに教えてもらえるだろう。 俺はれいむの姿が見えなくなるのを確認すると工房へと戻った。 色つきれいむは意気揚揚と森の中を駆け回った。 他のゆっくりはどこだろう。れいむの綺麗な黄色のリボンを見せて自慢してやろう。 そんなことを妄想しながら森を進むとすぐにゆっくりれいむの親子と遭遇した。 まずはいつもの挨拶をしよう。 「ゆっくりしていってね!!」 「「「「ゆっくりしていって…ね?」」」」 「ゆぅ?」 ゆっくり家族の挨拶が途中で詰まったので疑問符を浮かべる色つきれいむ。 「おねーちゃんりぼんへんだよ!!」 「れいむたちみたいにあかくないよ!!」 子れいむ達が色つきれいむの黄色いリボンを見て変だと叫んでくる。 ちがうよ、これがおしゃれなんだよ! と言おうとした時、母れいむが子れいむを背に隠した。 「あんなふりょうみたらだめだよ! ゆっくりできないよ!!」 「ふりょう! それじゃゆっくりできないね!」 「りぼんをそめるなんてとんでもないふりょうだね!!!」 「ちがうよ! ふりょうじゃないよ!! おしゃれなんだよ!?」 「おしゃれだってさ」「おお、ふりょうふりょう」 「かんちがいれいむはさっさとどっかいってね!!!」 「ゆぅぅ…」 体の大きい母れいむに睨みつかれると色つきれいむは何も言えず、涙を流してその場を離れた。 その後も会うゆっくり全てに不良扱いされた。 中には攻撃をしかけてくるものもいた。 色つきれいむは自分がこんなにオシャレなのになんで認められないのだろうと不思議でならなかった。 一緒にオシャレしてもらった仲間達はお互いにオシャレだと褒め合ったのに。 「ここのゆっくりがおくれているんだね! ゆっくりしすぎてくさってるんだよ!」 声に出して自分は間違ってないと自分に呼びかける。 そう、ありす風に言わせればここのゆっくりは田舎者なのだ、と。 そういえば最初のおうちのように綺麗な場所ではないし、そろそろ食事の時間だと思うのに誰も運んできてくれない。 「ゆ! おにいさんはいつになったらしょくじもってくるの! ゆっくりしすぎだよ!!」 食事はおにいさん持ってくるもの。 加工所で生まれ、何不自由ない生活を送ってきた箱入りゆっくりにとってそれは当たり前のこと。 それはこの初めて来た森でも同じだと色つきれいむは思っていた。 しかし誰も食事など持ってくるわけがない。 「ゆっ! もってこないならがまんするよ! ゆっくりねるからね!!」 いつまで待っても食事を持った人間が来ないとイライラしていた色つきれいむだったが、 森を走り回って疲れていたのかその場で眠りについた。 野生のゆっくりが見れば「ばかなの?」と思っただろう。 おうちではなく森の開けた場所で眠るなど自殺行為でしかないのだから。 しかし育つまでは安全な加工場飼育ルームで育った色つきれいむは"外敵"という存在を知らないのだ。 翌朝、運よく何にも襲われなかった色つきれいむは目を覚ました。 即座に色つきれいむを襲うのは空腹感。そういえば昨日から何も食べていない。 「おなかすいたよ!! おにいさんはまだこないの!!?」 場違いなことを言う色つきれいむもしばらくして、待っていても来ないことをようやく悟った。 「ゆっくりしょくじをさがすよ!」 色つきれいむは森を進む。 毛虫や蝶々、お花や木の実も通り過ぎて食べものを探す。 加工場で出されたのは餡子を加工した食べものがほとんどで、後は定期的に果物が出された。 そんなものが森にあるわけもないのだが色つきれいむはひたすら探す。 「ゆぅぅ…なんでどこにもたべものがないのぉ! これじゃゆっくりできないよ!!」 一時間後には疲れてもう動けない色つきれいむの姿があった。結局食べ物は見つけられなかった。 探す途中に他のゆっくりが食事しているのを見て近づいたが昨日と同じで追い出された。 「ゆぅ…ゆっくりできないゆっくりばかりだよ……ゆ?」 空腹でボーっとしていると目の前にゆらゆらと揺れ動く果物が見えた。 あれは確か桃だ。あれの美味しさは今でも鮮明に思い出せる。 「たべものみつけたよ! ももさんまってね!!」 色つきれいむの声に揺れ動く桃は一瞬止まり、今度は近づいてきた。 と同時にガサッと茂みから桃の付いた帽子を被るゆっくりが姿を見せた。 ゆっくりてんこだ。 「ゆっ? ゆっくりしていってね! あと、あたまのももをもらうね!」 「いじめてくれるの!?」 ゆっくりてんこは虐められるのが好きなゆっくりだ。ドMとも言う。 どうやら桃を奪おうとする色つきれいむが自分を苛めてくれるゆっくりだと認識したようだ。 「ゆっくりいじめてね! いっぱいいじめてね!!」 「ゆゆゆゆゆ!? すりよってこないでね!! ほしいのはももだけだよ!!」 「いろつきのおしゃれいむならいっぱいいじめてくれるよね!?」 「ゆゆゆゆー!! こないでぇぇぇ!!!」 色つきれいむはてんこを恐れて逃げようするが、体力が尽きていたのでまともに這いずることもできない。 跳ねることなどもってのほかだ。 てんこのいじめてね攻撃は逃げようとするれいむをよそに激しくなる。 「このきのえだでたたいてね!! ゆっくりさしてもいいよ!!」 「やめでぇぇぇ!! どっかいってえぇぇぇ!!!」 しかしてんこは聞き入れない。今度はそこらに落ちていた小石をれいむの前に置く。 「いしでぶってね!! すきにいじめてね!!」 「いやぁぁぁ!! だれかだすげでぇぇぇ!!」 色つきれいむの助けを求める声。 その声を聞きつけたゆっくりがいた。 「れいむぅぅぅぅぅ!! だすげにきだよぉぉぉぉ!!」 「あ、ありす!! たすけにきてくれたの!?」 「ええ! すっきりさせてあげるぅぅぅぅ!!!」 「…ゆっ?」 現れたのは動く性欲のゆっくりアリスだった。運が悪いことにそのありすは発情モードだった。 ありすはれいむに擦りよって交尾を始めようとする。 「とかいはのてくをあじわわせてあげるぅぅぅ!!」 「ゆやぁぁぁ!! きもちわるいよ! くっつかないでぇぇぇ!!」 「つんでれいむかわいいわ!! いろつきリボンもおしゃれぇぇぇ!!!」 「いまいわれてもうれしくないよぉぉぉぉ!!!」 ありすはれいむの頬をぺろぺろと絶妙な力加減で舐めまわす。 れいむは嫌がりながらも心地よさを感じてしまう。 しかし構ってちゃんのてんこがそれを黙って見ているわけがない。 「れいむ! てんこをちゃんといじめてね!!」 てんこはありすを押しのけてれいむの口に木の枝を咥えさせる。もちろん叩かれるために。 「ゆ! てんこはじゃましないでよね! れいむはありすがすっきりさせるの!!」 「れいむはてんこをいじめるんだよね!!」 ドSとドMに言い寄られる色つきれいむ。れいむはとにかくこの場から逃げたかった。 色つきリボンを褒めてくれるゆっくりと出会えたが、何か違う。 ただ単に褒めてもらって憧れの的になりたいだけだった。 「どうせならてんこをいじめてよね!」 「じゃあてんこですっきりするわよ!!」 いつの間にかてんことありすが熱く絡み合ったようだ。 逃げるなられいむが見えていない今のうちしかない。 色つきれいむは重い体を引きずるようにその場から逃げていく。 「ゆ、ゆぅ…もう、あるけないよ…」 てんことありすからは逃げることに成功したが、色つきれいむは腹ぺこで動けなくなった。 元々燃費の悪いゆっくりであるから、二食抜いただけでもかなり危険だ。 もう体が大きければ数日食べなくても平気だが色つきれいむはまだまだ子供で小さい。 「ゆぅ、ゆぅ…ゆっくりしたいよ……」 視界がぼやけてきた。このまま眠りについたらきっと目が覚めることはないだろう。 お馬鹿な色つきれいむでもそれは分かった。 でも世話してくれる人のいないこの森ではゆっくりできない。 色つきれいむが眠りに着こうとしたとき一匹のまりさが目の前に現れた。 「ゆ! れいむがたおれてるよ!!」 「ゆ…」 このまま死んでもいいやと思っていた色つきれいむの心に火が再び灯る。希望と言う名の灯。 「おなかすいてるの? ちょうどたべものあるからあげるよ!!」 「ゆ…あ、りがと…」 目の前に出されたのは丸々太った芋虫といくつかの木の実だ。 全然食べ物ではなかった。あくまで色つきれいむにとっては。 「ゆ、たべないの? つかれてるんだね! たべさせてあげるよ!」 まりさは親切に芋虫を口に咥えてれいむの口元へ持っていく。 まだ生きているそれが口に近づいてくるのを見て色つきれいむは全身に寒気が走る。 「だめだよ…! そんなきもちわるいのたべられない!」 「ゆ……? いもむしおいしいよ!!」 「ちゃんとしたたべものがほしいよ。あまいくだものがいいよ…」 色つきれいむの言葉を聞いたまりさの顔が途端に険しくなりだした。 「れいむはにんげんにかわれてたんだね! そんなゆっくりとはゆっくりできないよ!!」 「ゆ…?」 「それにリボンのいろもへんだよ! にんげんにちやほやされてたんだね!!」 「ゆ? ゆゆゆ?」 まりさの家族は人間に殺された。それも人間の飼っていたゆっくりれいむによってだ。 まりさは見た。人間の命令に従って笑顔で家族を殺すれいむを見た。その後は人間に褒められて喜んでいた。 それから人間に飼われるゆっくりに、飼われていたゆっくりに対しても敵意を向けるようになったのだ。 「ふつうのゆっくりはむしとかきのみをじぶんでとるんだよ! みんなひっしでいきてるんだよ!! もらうことしかしらないゆっくりはゆっくりしないでしね!!!」 「ゆげぇっ!!?」 まりさは怒りを込めて色つきれいむに体当たりすると唾をれいむに吐きかけてその場を去っていった。 「ゆぅぐ…いだ、ぃぃ…!」 れいむは体当たりされて吹きとんだ拍子に後頭部を切ってしまった。傷口からは餡子が流れ出ている。 だが、れいむにとって深刻なのは心の傷だった。 当たり前のことを言っただけなのになんでこんなことされたんだろう。 芋虫とかいう気持ち悪いものを食べさせようとしたまりさが悪いだけなのに。 「ゆっくりとはゆっくりできないよ……」 色つきれいむは優しいお兄さんのいるおうちへ帰りたいと強く思った。 だがそれが適うことは最初からなかった。 背中の傷に何かが這いまわる感触。口にも何かが入り込んでくる。 今のれいむに近寄ってくれるのはもはや自分を食べようとする虫や小動物のみだった。 「ゆっくり…したかったよ…」 れいむは体が死ぬ前に心が死んだ。 最後に残ったのは黄色いリボンだけだった。 終 by ゆっくりしたい人 祭りで終わるはずだったんですけどね。 書いているうちにあれもしたい、これもしたいで構想より冗長になりました。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/937.html
※これは拙作『詰め替えゆっくり』の設定を使っています。独立していますが、先にそちらを見ていただいた方が良いかも知れません。 ※東方キャラ登場注意 人間の里唯一の喫茶店では、今日も忙しく人が動き回っている。 その中に、ひときわ目立つ客がいた。 男女の二人連れ。 それ自体は珍しいものではない。この店は人間どころか妖怪も来るし、カップルで来る者もいれば、夫婦で来る者もいる。 だが、この二人連れ……特に女性は、ただそこにいるだけで店内の視線を集めていた。 美しい銀髪と同色の輝く瞳、絶世の美女という言葉だけでは表せないほどの、その場が輝いている様に錯覚するほどの美しさ。 更に赤と青の交差した服とお揃いの十字のマークが入った帽子を被るという奇妙な服装となれば、目立たない方がおかしい。 店にいる男性達は、皆がそんな女性を横目で、あるいはじっくりと眺めてしまい、相手のいる者は睨み付けられたり腕や手をつねられたりしている。 また、男性も幾らかの男性から視線を受けている……いや、睨まれている。相手のいない男性が嫉妬しているという所だろうか。 だが、様々な意味で店の注目を一身に受けている当の二人は、そんな事を気にも留めず、のんびりと注文の品を待っていた。 「……で、話はなんだ?」 注文の品が来たと同時に、男は独り言の様に話を切り出した。 直前まで別の話をしていた女は、当然だが突然の男の言葉に目を白黒させる。 美しい灰色の瞳をしばたたかせるその様子は、女を知る者ならば目を疑う光景だろう。 だが、男はそんな珍しい物を見たという事実を気にもせず、更に言葉を重ねた。 「何か用があって呼び出したんだろう。何の用なんだ?」 若干の苛立ちを含んだその声色に、女はふっと微笑んでコーヒーを一口飲んだ。 『ゆっくりのんでいってね!』 「変更?」 「そう」 顔をしかめて聞き返す男に、女……八意永琳は、まだ熱いコーヒーをちびちびと飲みながら一言で答えた。 「どういう事だ」 「言葉通り。別の実験をして欲しいのよ」 お願いね、と付け足して、永琳は満面に笑みを浮かべる。 それを見た周りの者は、客も店員も男女も関係なく、自分が向けられている訳でもないのに顔を赤くした。 ただ一人反応しなかった男は、楽しそうに自分の顔を眺めている永琳に渋面を返しながらも、二つ返事で答える。 その後も様々に話しかけてくる永琳を適当にあしらいつつ、男はこれまでの事を思い出していた。 幻想郷一のひ弱な生物と噂される、ゆっくりの中身を別のものに入れ替える実験。 男が請け負った依頼はそれである。 永琳の依頼を受けて以来、男は毎日実験を繰り返した。 れいむに酒を入れた。まりさにペースト状の唐辛子を入れた。ちぇんに廃油を入れた。みょんには生ごみを入れた。 あらゆるゆっくりの中身を、時には食物、時には金属と入れ替え続けた。 半分以上は即死し、更に半分は精神崩壊し、残りはその後何らかの障害を負った。 実験材料となった全てのゆっくりが、今もなおゆっくりできない状況にある。 男は、それがたまらなく楽しかったし、このまま一生続けても良いと思うほどに生きがいすら感じていた。 それが、急に呼び出されたと思ったら別の実験をしろとのお達しである。腹が立つのも当たり前だ。 ――せめてここの払いは割り勘にしてやろう。 そう考えて、男はニヤリと笑った。 「……話、聞いてる?」 ふと気づくと、目の前には白い目で睨む雇用主がいた。 ぼうっとしていたと正直に答えて、男は正面から永琳を見つめる。 「で、具体的な内容は?」 男が別の実験をする様に永琳から依頼を受けて数日後。 彼の目の前には、ゆっくりの中で最もポピュラーなれいむ種・まりさ種が合わせて5匹いた。 どうやら、家族でゆっくりしていた所を捕らえられたらしく、皆上向きに鎖に縛られて居心地悪そうに震えている。 男は、そんな不運なゆっくり家族を、感情のない目でただ見つめていた。 「ゆ……ゆっくりしていってね!」 無言のまま自分達の方を眺めている男にしびれを切らしたのか、中くらいのゆっくりまりさが声をかけた。 だが、男は何か言うどころか、その場に立ち尽くしたまま身動きもしない。 「おにいさん! これじゃゆっくりできないよ! ゆっくりおうちかえしてね!」 子まりさは、沈黙をただ聞こえてないだけだと思っているらしく、縛られている鎖をじゃらじゃらと鳴らして訴える。 同時に、他の家族も口々に帰りたいと騒ぎ始めた。 だが、男はそれら全てを聞こえてないかの様に無視して、別の部屋へと移動する。 「ゆっ、どこいくの……まって! まっでよぉぉぉ! おうぢがえじでぇぇぇ!!!」 ゆっくり家族の嘆きを背に、男は実験の準備を始める。 「おにいさん! まりさたちすごくゆっくりしてるんだよ! だからおうちに……」 帰らせて、と言いかけて、子まりさは言葉を失った。家族も騒いでいたが、子まりさと同じ様に呆然としている。 当然の事だ。戻ってきた男は、明らかに異常な物を持っているのだから。 何かの容器に入った、灰褐色の液体。 ゴミを数日放置したらこうなるだろうと思われる異様な臭いを、辺りに撒き散らしている。 あまりの悪臭に小さいゆっくり達はけほけほと咳き込み、親ゆっくりと思われる大きめの二匹すら顔色を青くした。 小さいゆっくりの中には、あまりの事に耐えられず、アンコを吐こうとしているものもいるが、上向きのため吐き出せないでいる。 「おにいさん……なに、それ……」 饅頭としては食べたくないと思わせる顔色のまま、震える声で問いかける親れいむ。 男はそれを無視し、無言のまま液体を親れいむの口に流し込んだ。 「やべっでっえぇぇぇぎゃっぴぃぃぃ!!! ……ぴゃっ、びきぃ、ぴぇぇぇぇ……」 液体を口に流し込まれる度、親れいむは珍妙な声をあげた。 痛い。苦い。すっぱい。気持ち悪い。 すぐにこんな物は吐き出したかったが、上向きに縛り付けられているため吐き出したくても吐き出せない。 やめて欲しい。いっそ殺して欲しい。ゆっくりしたい。楽になりたい。おうちにかえりたい。 意識にノイズがかかった様な世界の中、親れいむはただ流し込まれる何かに耐え続けた。 「ごぶぼぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁ!!! げぶっ、ごぶっ……」 親れいむの口に液体を流し込んでいた男が、不意に手を止めた。 容器の液体は、もう半分程度しか残っていない。逆に言うと、親れいむはゆっくりと時間をかけて容器半分に値する毒液を流し込まれた事になる。 その間、子供達どころか、つがいと思われる大きめのゆっくりまりささえ、あまりの恐怖に涙を流して眺めているだけだった。 もし、親れいむが何か言える状態なら、液体を流し込まれている間の苦しみを家族に訴えていただろう。 だが、今は寒天の目がぐるんと裏返っている。自己防衛なのか、親れいむはとっくの昔に意識を失っていたのだ。 「げぼっ……げぼっ、がぶばぁぁぁ……げぼっ……」 既に気絶しているはずの親れいむの口の中から、壊れた水道管の様にごぼごぼとにごった音が聞こえてきた。 体が、吐き出さなくてはならないと判断しているのだろう。 音と同時に、灰褐色のしぶきが辺りに飛び散っていく。黒いものが混じっているのは、アンコも一緒に吐き出しているからだろうか。 いずれにせよ、この親れいむはもう長くないだろう。 男がそう考えながら親れいむを見ると、顔全体ににきびの様な何かが浮き出ていた。 「れいむ……れいむぅぅぅ!!! じなないでぇぇぇ!!! じんだらゆっぐりでぎないよぉぉぉ!!!」 やっと気を取り直したのか、つがいのまりさはがしゃがしゃと鎖を鳴らし始めた。 寒天の目には涙があふれ、鎖に接している皮は動く度にぼろぼろになっていく。 それでも、まりさはどうにかしてここから抜け出そうと、必死にもがき続けた。それもこれも、全てはれいむのためである。 あんな毒液を飲まされたのだ。このままでは、もう二度とれいむと一緒にゆっくりする事はできないだろう。 だからこそ、少しでもれいむのそばに行ってやりたかった。ほほをすり寄せて、一緒にゆっくりしたかった。 「おにーざん、ゆっぐりだずげでぇぇぇ! れいむといっじょにゆっぐりざぜでぇぇぇ!!!」 もはやれいむと一緒にゆっくりする事しか頭にない親まりさは、こんな状況に追い込んだ男に声をかけた。 「おでがいでずぅぅぅ! なんでもやるがら、まりざをはなじでぇぇぇ!!!」 がしゃがしゃと鎖を鳴らしながら、親まりさは男に向かって悲痛な声をあげた。 自分を解放できるのは男だけだと判断して声をかけたのは、間違ってはいない。男なら鎖を外す事は簡単に出来るからだ。 だが、まだ容器に半分の毒液がある事を、まりさは忘れていた。 「なんでもすると言ったな」 呟いた男の手にある毒液が、微かに波立った。 「ゆっぐりやべでね! ゆっぐりやべでね! ……いやぁぁぁぁぁ!!!」 縛られている鎖をがしゃがしゃと鳴らすまりさ。その目には、涙があふれている。 あれから、親まりさに残り半分、子供達には同じ液体を一割ずつ流し込み、残りは中くらいの子まりさだけになっていた。 「やべでぇぇぇ!!! ゆっぐりでぎないよぉぉぉ!!!」 子まりさは悲鳴を上げつつ、少しでも液体を飲まない様に暴れ続ける。 液体が顔にかかっておぞましい感触が伝わってくるが、それでも飲むよりはましだ。子まりさは、そう考えていた。 先ほど毒液を飲まされた親れいむも親まりさも子ゆっくり達も、まだ意識を回復せず、皆白目をむいて小刻みに震えている。 顔全体ににきびの様なものが浮き出ている有様は、最初からゆっくりはこういう物体だったと錯覚してしまうほどに不気味なものだった。 そんな家族の末路をゆっくりと見ていた子まりさは、これは絶対に飲んではいけないものだと分かっていた。 だから、流し込まれないため、生きるために、今は必死に避け続けているのである。 「ゆっぐりざぜでぇぇぇ! おでがいだがらやべでよぉぉぉ!!!」 泣き叫びつつも、子まりさの目は冷静に容器を見つめていた。 六割程度あった毒液が、もう三割程度まで減っている。 このまま避け続けていれば毒はなくなる。後で体を洗わなければならないだろうが、飲んで家族の様になるよりはずっとマシだ。 更にこぼれていく毒液を見て、内心ほくそ笑む子まりさ。 だが、そこで安心してしまったのか、僅かに反応が遅れた。 その隙を見逃す男ではない。 素早く子まりさの左右に余った鎖を詰め込み、上向きのまま全く動けなくさせてしまった。 「ゆっ! ……ゆっぐりじでいっでねぇぇぇ!!!」 混乱しているのか、なぜかいつもの鳴き声を上げる子まりさの口に、毒液が流し込まれた。 「やべべべべぇぇぇ!!! げげぼぼぼぼぉぉぉ!!!」 灰褐色のよだれをたらしながら、おぞましい感触に身を震わせる子まりさ。 なぜ自分達がこんな目に遭うのか。そんな無意味な事を考えながら、子まりさは意識を失った。 ●ケース5 生ゴミ 親ゆっくりれいむ 1 親ゆっくりまりさ 1 子ゆっくりまりさ 1 小ゆっくりれいむ 1 小ゆっくりまりさ 1 合計 5 数日放置して醗酵させた生ゴミから漏れ出した汁を摂取させる。 摂取直後、全体にアレルギー反応と思われる湿疹が浮き出る。 親ゆっくり・子ゆっくりは摂取後3日で死亡。小ゆっくりは4時間後に死亡。 なお―― 報告書を書いている最中、ふと何かを思い出した様に顔を上げる男。 その表情には、若干の不快感がにじみ出ている。 彼は、数日前の出来事を思い出していたのだ。 「で、具体的な内容は?」 「簡単な事よ。生ごみでも油でも硫酸でも、これまでアンコを取り去って詰め替えていた物を、今度は食べさせるの」 さらりと恐ろしい事を言う永琳に、男は首を傾げた。 ゆっくりが哀れに思った訳ではない。単純に理解できなかっただけである。 「食べさせる……とは?」 「ゆっくりのエサを、詰め替えていた物に変えて欲しいって事よ。基本的にはそれだけ」 分かった、と頷いた男を見て、永琳は物分りが良くて助かると微笑んだ。 「液体・固体の区別なく食わせるが、それは良いのか?」 「良いわよ。その辺りは任せるわ」 笑顔を崩さずに軽く答える永琳に、ああ、などと気の抜けた返事をしつつ、男はこれからの事について思いをめぐらせていた。 生きがいとも思っていた詰め替えはもう出来ないが、今度は食べさせる事が出来る。 要は、口から入れるか、体に直接入れるかの違いなのだ。 やる事はほとんど変わらない。ならば、楽しんだ方が良い。 問題は、どう楽しむかだ。 考えはじめた男に、よろしくと言い残し、伝票を渡して去っていく永琳。 「あれを使って……いや、いきなり殺すのはよろしくないな。時間はあるんだから、もっと……」 ぶつぶつと呟く男が残された伝票に気づいたのは、永琳が去ってから一時間後の事だった。 しばらくぼうっとしていた男は、ふと顔を下に向けた。 そのまま、硬筆のカリカリという音だけが響いた。 なお――この報告書を受け取った日は、そちらにおごって頂くのでそのつもりで。 ニヤリと凶悪な笑顔を見せる男。 食い物の恨みは、恐ろしいのだ。 37スレ670台の薬関連の話題を見て思いついたのでつらつらと。 ところでこの男、虐待お兄さんなんでしょうかね? by319 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3156.html
竹取り男とゆっくり 6 ある山で、ゆっくりまりさとゆっくりありすが仲良く暮らしていた。 つがいではない。 まだ初々しい恋仲だった。 親同士がご近所で、同じ時期に生まれて小さい頃から一緒に遊んでいたまりさとありす。 大人になると2匹は連れ立って親元を離れ、今こうして真新しい巣穴で寄りって眠っていた。 いずれは……と。 まりさもありすも同じ夢を描いていた。 その夢は、この冬の先にとってある。 厳しい寒さを越えて草木の新芽が芽吹くころ、まりさとありすは本当の家族になるのだ。 木の根元に掘った小さな巣穴には、そんな愛と希望があふれていた。 朝………… 「ゆ」 バレーボールサイズのまりさは、巣穴に差し込む太陽の光で目を覚ました。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆぅん……ゆっくり……」 ありすを起こそうと元気に叫ぶまりさだが、ありすはまだ眠たそう。 「ゆ! ありす! もうあさだよ! ゆっくりおきてね!」 「ゆふ…ゆっくりまってね……ゆっくり……おき……」 と言いつつ眠ってしまうありす。 まりさはそんなありすを可愛いと思った。 とてもゆっくりしていたから…。 まりさはありすの頬にすーりすーりしてからいったん外に出ると、センダングサの白い花をくわえて戻ってきた。 そして、眠っているありすの側にある大きな葉っぱを持ち上げた。 その下にはわずかばかりの食料。 まだ若いまりさは巣穴を上手に掘ることができない。狩りもうまくない。 そのため、2匹は狭い一部屋を寝室兼食料庫として使っていた。 まりさは葉っぱを地面に敷くと、その上に食べ物をきれいに並べた。 小さなドングリが6つ。 小さなキノコが1つ。 小さなダンゴムシが2匹。 最後に、つんできた小さな花を添える。 「ありす、ゆっくりおきてね!」 「ゆ…ん」 「ごはんできたよ! いっしょにたべようね!」 「ごはん?」 ありすはゆっくりと目をひらいた。 そして、まりさが用意してくれた食事に気づいて笑顔を輝かせた。 「ありがとう! とかいはらしいすてきなもーにんぐね!」 まりさとありすは仲良く食べはじめた ありすがドングリを食べれば、まりさもドングリを食べた。 ありすは1つしかないキノコを「とかいはのてくよ!」と口だけで器用に均等にちぎると、半分をまりさに渡した。 2匹は毎日、同じものを同じ量だけ仲良く食べた。 ゆっくりの食事にしては質素すぎるものだが、添えられた花は彼らの空腹感を幸福で満たした。 「「むーしゃむーしゃ、しあわせ〜!」」 食事を終えたまりさとありすは、連れ立って湧き水を飲みに行く。 水場には同じように朝食を終えたゆっくりの家族がたくさん集まって会話していた。 「「ゆっくりしていってね!」」 「「「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」」」 2匹のあいさつに、彼らは一斉に応えた。 まりさはその中に馴染みの一家を見つけた。 その一家は、両親であるまりさとれいむ、そして1匹の赤ちゃんまりさ、3匹の赤ちゃんれいむという構成。 まりさとありすがここに来て巣穴を掘りはじめた頃、なにかと世話をしてくれた親切な一家だ。 みんなとてもゆっくりして幸せそうだった。 さて、その親まりさは2匹のそばに来ると、残念そうに別れを告げた。 「きょうでみんなとはおわかれなんだ!」 「ゆ? どうして?」 「となりのやまにゆっくりひっこしするんだよ!」 「ゆゆ? でも、あそこはごはんがないよ?」 隣の山とは、彼らが住んでいる山の隣にある、竹ばかり生い茂った大きな山のことだった。 その竹山にはゆっくりが常食にしている昆虫や花がほとんど無いため、どのゆっくりも寄りつくことはない。 若いまりさは、なぜここを捨ててまでそんな山に移り住もうとしているのか理解できなかった。 「じつはね…」 親まりさは、とくに仲良くしていた若いまりさに引っ越す理由を教えた。 これは道に迷ったある1匹の"はぐれゆっくり"から聞いた話で、春になるとあの山には"タケノコ"という美味しい食べ物ができるという。 しかも、そのはぐれゆっくりは三日三晩のあいだ、一度も人間ともゆっくりとも遭遇しなかったという。 このことを知っているのはごく一部だけだから、今のうちに引っ越せば、春にはタケノコをおなかいっぱい食べてゆっくりし放題だというのだ。 「ひっこしはいつなの?」 「これからいくよ! まりさのれいむが、はやく"たけのこ"をたべたいっていってるから!」 「あかちゃんもつれてくの?」 「ゆっ! もちろんだよ!」 見ると、体の大きな親れいむの足元には、食料や家具をくるんで丸めた葉っぱが数個置かれている。 赤ちゃんたちも、きっとお弁当だろう…小さな葉っぱを丸めたものを咥えていた。 「まりさ、ゆっくりしてないではやくいこうね!」 「ゆ! わかったよれいむ! じゃあまりさ、ありすとゆっくりたっしゃでね!」 「ゆ! まりさもれいむやあかちゃんとゆっくりくらしてね!」 こうして、まりさとありすは一家を見送った。 一家は本当に幸せそうに、ポンポン飛びはねて行った。 そして、彼らは二度とここへ戻ってくることはなかった。 さて、あれから数日後、まりさとありすは巣の中で、今日はなにをしてゆっくりしようかと話し合っていた。 ふと会話が途切れたとき、おもむろにまりさは言った。 「ゆぅ……ありす、まりさたちのおひっこし、どうおもう?」 「ゆ? ありすはいやよ! あんなだれもいないところ、ぜんぜんとかいはらしくないわ!」 「でも、おいしいたけのこがあるらしいよ」 「ゆゆ? たけのこ?」 「それに、にんげんもいないんだって」 「ゆゆゆ! まりさはありすのことほっといて、たけのこがたべたいのね!?」 「たべたいよ…! ありすといっしょにたけのこをたべて、ふたりでいっしょにゆっくりしたいよ!」 「ばっ、ばりざっ…!!」 危なかった…。 もう少しで黄色いボルケーノを大噴火させてしまうところだった…。 ありすはこっそり壁に涎をなすりつけて、ハァ…ハァ…と呼吸を整えていた。 一方、まりさのほうは純粋に、大好きなありすにタケノコを食べさせてあげたいと考えていた。 なぜならまりさは、自分がありすとつり合うような立派なゆっくりだという自信が持てなかったから。 まりさはまだ大人になったばかりで、狩りも下手。 巣穴も同サイズのゆっくりが3匹入るかどうかの、こんなに狭いワンルームだ。 "とかいは"なありすを満足させてあげるためには、おなかいっぱいの食べ物と広い3LDKが必要だった。 …隣の山は美味しいタケノコがたくさん生えるという。 …しかも、人間もゆっくりも住んでいないという。 若いまりさは、そんな未知の世界への誘惑にすっかり魅了されていた。 そして、今こそ頼りがいを見せるときだと思ったのだろう…。いつになく、まりさは強くありすを誘った。 「ありすのこと、まりさがまもるからね!! まりさにゆっくりついてきてね!!」 ボムッ☆ ありすのあふれる愛情が、カスタードに形を変えて口から噴き出した。 体の下のほうの小さなバッテンからも、なんか変な汁が出てきた。 「し、し、しかたないわね! ちょっととかいてきじゃないけどっ、ばばっばりざがいうならいっしょにいってあげてもいいわよ!?」 ギンギンに目を血走らせるありすに、まりさはこの上ない笑顔を向けた。 かくして、この若い2匹もまた引越しの準備を整えはじめた。 旅立ちは4日後の早朝だった。 もともと狭い巣穴に家具などあるわけもなく、持って行くものといったら食料ぐらい。 見知らぬ土地に行くということで、まりさもありすも2つずつ、葉っぱにくるんだお弁当を持った。 「「ゆっくりさようなら!」」 「「「「「ゆっくりきをつけていってね!」」」」」 前の一家と同じように、2匹はそろって親しい友達に別れを告げた。 そして同じように、とくに親しい友人には行き先と理由をうち明けてきた。 まりさは先頭、ありすはその後に続いた。 弁当を2つも持つのは難しいので、1つは口に咥えて、もう1つはコロコロ転がした。 「ゆっゆっゆ゙ー!♪ ゆゅっゆゆ゙ー!♪」 「まりさはへたね! ありすのそぷらのをおてほんにしてね! ……ゆ〜ゆ〜〜ゆ゙ぅ〜!♪ ……」 新天地への希望でいっぱいのまりさとありす。 2匹は音程も外れ、リズムもちんぷんかんぷんなくせに声だけはやたら大きい、聞くに耐えない歌を歌っていた。 そうしてしばらく歌って飛び跳ねているうちにおなかが空いたので、1つ目の弁当を使うことにした。 中身はたくさんのドングリと珍しいキノコで、この4日間のうちにまりさがはりきって集めてきたものだった。 2匹はどんなに空腹でも、仲良く一緒に食べた。 「ゆゆ〜ん! おいしいね!」 「ゆっくりできるわね!」 「「むーしゃむーしゃ、しあわせぇ〜!」」 食事を終えると、また跳ねていく。 弁当が1つ減ったので、速度も早くなった。 これなら日没のだいぶ前に、ふもとにたどり着くだろう。 そう思った矢先である。 「ゆ゙っぐぅ……あ…ありず、まりざおなかがいたいよ……」 「まりさもなの? じ、じつは……ありすもな゙の゙……」 急に、まりさのおなか(頭しかないが)の餡子がズキズキと痛みだした。 一方のありすはもう随分前から腹痛(頭しかないが)に苦しんでいた。 それでも都会派の意地で我慢していたのだが、まりさに告白されると、とうとう自分も白状してしまった。 「ゆぐうぅぅ…もじがじて…きのこかな゙ぁ…」 「ゆ…。どんぐりはいつもとおんなじだったから、きっときのこよ…」 そういえば2匹が食べたキノコはやけにカラフルだった。 新しい門出にふさわしいと、まりさが取ってきたものである。 まりさの体もありすの体も、ネチョネチョした汗をしたたらせてテラテラ光ってきた。 そうして、ゆるやかな上り坂にさしかかった時である。 弁当を咥えて上っていたまりさが、 「ゆっしょ! ゆっしょ! ゆっしょ! …ゆっぶげえ゙!!!」 と、さっき食べたものを吐き出して苦しみ出した。 「まりさ!? しっかりしてねまりさ! まりざおろろろろっろおろろろろろろっろお!!!」 心配して駆けつけたありすが、まりさの嘔吐物のビジュアル・アンド・スメルにやられて、もらいゲロへと突入してしまった。 「ぶっぶげっ! ぶげえっ!! ぶげげぇ!!」 「ゆおろろろおおおおろおろろっろろおおおろろろろおろろろっ!!」 道のド真ん中で、しかも嘔吐物の海のド真ん中で、糸を引きながらネッチャネッチャとのたうち回るゆっくりが2匹。 もしこんな光景を人間に見られたら火でもかけられて消毒されそうなものだが、幸いこの道はめったに人間が通らなかった。 「あ、あ゙じずゔゔゔ……だいじょぶぅぅぅ……?」 「ばじざのばがぁぁぁぁぁ」 「ごべんであ゙じずゔぅぅぅ」 「ぐる゙じい゙よ゙ぉ」 3時間たっぷり悶え苦しんだ2匹はげっそりやつれて、舌を出したまま仰向けに伸びていた。 腹痛は収まっていたが、体内のものを吐き出しすぎて力が入らない。 消化不良のどんぐり&キノコ。餡子。カスタード。涙。涎。謎の粘液。 2匹が作った湖は黒と黄色の様々な液体が混ざり合って、異様な臭いを撒き散らしていた。 「ゆぶぅっ…ゆぶぅっ…ゆぶぅっ…」 「ゆひぃ、ゆひぃ、ゆひぃ」 こうして毒キノコを食べたまりさとありすは地面をのたうって地獄の苦しみを味わったものの、幸い命を落とすことはなかった。 陽が傾いてそろそろ日没という頃、2匹はやっと悪臭の湖から起き上がった。 「よるになっぢゃうよ……あじず、ゆっぐりあるごうね?」 「ゆ……ぐ……」 ありすはまりさに抱えられ、体を引きずって歩き出した。 「ばじざ、おべんとは?」 「ゆっ…ゆっぐじわずれでだよ…」 まりさは2つの弁当を取りに這って戻ったが、悪臭の湖に長時間沈んでいた弁当はもはや食べられそうもなかった。 まして、弁当の中身は先に食べたものと同じだったので例の毒キノコ入りだ。 まりさは泣く泣く弁当を諦めてありすのところに戻った。 「ばじざ…? おべんと…」 「ゆっ…たべられぞうにながっだよ…」 意気消沈した2匹は、ふたたび体を引きずって歩きだした。 体の中身が空っぽのような気がして、まったく力が入らない。 事実、2匹の中身は4割ぐらい減っていた。 それでも夜の闇は怖いので、何度も倒れながら道を歩いた。 日もとっぷり暮れた午後7時、まりさとありすはやっと竹の鬱蒼と生い茂る山のふもとに到着した。 ぜんぜん嬉しくなかった。2匹は涙目になって寝る場所を探しはじめた。 だが、見つからない。 広葉樹や針葉樹の大木の根元ならいくらでも穴が見つかるが、地面からスッと垂直に伸びる竹の山に、ゆっくりが眠れる場所など皆無だった。 「ゆ…まりさどうするの…?」 「まってね、ゆっくりかんがえるよ」 「もうよるになっちゃったよ…?」 「ゆっくりまってね、ゆっくりかんがえさせてね」 「ゆぐっ…ゆぐっ…やっぱりこなければよかったぁぁぁ!! ありすはいやっていったのにぃぃぃ!!」 「ゆっくりしずかにしてね!! わがままいわないでね!!」 夜の闇を不安な目で見まわしていたありすは、とうとう泣き出してしまった。 まりさもだんだん怖くなってきて、いっそ逃げ出そうかという思いが餡子脳をよぎった。 だが、2匹で暮らしていた巣穴を思い出したとき、まりさはひらめいた。 「ゆっくりー! あなをほればいいんだよ!」 まりさはそう叫ぶと、口を開けて地面の土にガッついた。 「かたいよおおお!!!」 その土は固く、とてもゆっくりの歯で掘れるものではなかった。 「ゆゆ! まりさ、こっちはほれそうよ!」 ありすは山の斜面で、土の固さを確かめるようにポンポンと飛んでいた。 たしかに、斜面の土は落ち葉に覆われてやわらかい。 まりさは再び口を大きくひらくと、地面にガッついた。 そして、口いっぱいに溜めこんだ土を脇に吐く。 土特有のにおいに、弱っているまりさは何度か嘔吐をもよおしたが、だんだん穴は掘れていった。 「がぼ!! ゆぺっ! がぼ!! ゆぺっ」 「まりさ、もだんですてきなおうちをつくってね!」 そうして40分も経つと、単に横に掘り進めただけの巣穴ができあがった。 「ゆふぅ…やっとできたよ!」 「ゆゆ〜ん! ありがとうまりさ!」 「これでいっしょにゆっくりできるね!」 月明かりのなか、まずはありすが中に入っていった。 ゆっくりが1匹しか通れないような細い穴。 奥行きも2匹がギリギリ入るかどうかの窮屈な巣だが、急場をしのぐためには仕方がない。 少なくとも恐怖と寒さに震えながら外で眠るよりは、身を隠せるだけ安全だった。 「まりさ! ゆっくりできるわよ!」 「ゆゆっ! よかったよ! じゃあまりさもはいっ…」 「ゆあああああああああ!!!」 ついさっきまでウキウキしていたありすが、穴の奥で唐突に叫んだ。 「どうしたの!? なにかあったの!?」 「うしろがみえないよぉぉ!! これじゃゆっぐじでぎないぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」 なんと、振り返るスペースがないので奥を向いたまま反転できないというのだ。 「ゆっ! ありす! そこでゆっくりまわればいいんだよ!」 「ゆ? こぉ? くーるくーる…」 ありすはその場で足踏みして少しずつ回ると、入口を向くことができた。 「ゆゆ!? できたよ! まりさすごいわ!」 「ゆっへん!」 あごをのけ反らせて自信満々のまりさ。 ありすはそんなまりさを見て、泣きべそをかいた自分が恥ずかしく思った。 「つ、つかれててちょっとこんらんしてただけなんだからね!? ほら、まりさもはやくはいってね!!」 「ゆっくりはいるよ! ゆっくり〜♪」 モゾモゾしながらまりさが入ると、とんがり帽子が穴の入口につっかえて、脱げて落ちた。 「ゆゆっ!? まりさのおぼうしがおちちゃったよ!」 まりさはその場足踏みで半回転すると、帽子を取りに巣を出て、斜面を下りた。 「ゆ。まりさのたいせつなおぼうし、よごれてなくてよかったよ!」 まりさは帽子をかぶりなおし、再度ありすのいる巣穴に入った。 トサッ 「ゆぅ!?」 まりさはまたもや足踏みして半回転し、帽子を取りに斜面を下りた。 「まりさのたいせつなおぼうしさん、おねがいだからゆっくりしていってね!」 まりさは帽子に声をかけてかぶりなおすと、巣穴に入って………また帽子を落とした。 「ゆげぇ!? …もう! ゆっくりしてっていってるでしょっ! いいかげんにしないとおこるよ!! ぷんぷん!!」 「まりさ、おぼうしがおおきすぎるんじゃない?」 「そんなことないよ!! まりさはちいさいころ、もっとせまいあなにもはいったことがあるんだよ!?」 そりゃ、小さい頃は帽子も同じように小さかったんだから、もっと狭い穴にも入れただろう。 だが、餡子脳しか持たないまりさにはその理屈がわからない。 言うことを聞かない自分の帽子に癇癪を起こしたまりさは、とうとうありすにも当たり散らしはじめた。 「ゆっくりおぼうしをとりにいくよ! くーるくーる、くーるくーる…」 足踏みで半回転して巣穴を飛び出し、斜面を下りて帽子をかぶる。 そしてまた斜面を登って、巣穴に入って帽子を落とす。 それをくり返すこと7度。 まりさは疲れと怒りで真っ赤になって荒い息を吐いていた。 「ゆふーっ! ゆふーっ! ゆふーっ!」 「まりさ、だいじょうぶ?」 「ゆ! こんなのどうってことないよ! ありすはゆっくりあんしんしてね!」 そうして、また帽子をかぶった。 「かっこよくてすてきなおぼうしさん! まりさはゆっくりあなにはいるから、おぼうしさんもゆっくりはいろうね!」 まりさはそう言うと、慎重に慎重に穴に入りはじめた。 「ゆっくり、ゆっくりはいるよ! そろーり…そろーり…」 トサッ 「……………………」 まりさの帽子は、入口に引っかかって落ちた。 「……どぼぢでお゙ぢる゙の゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙!!!!??」 まりさはとうとう自分の帽子にプッツンして巣穴を飛び出した。 そして、よほど怒り狂っているのだろう…ゆっくりたちがあれほど大切にしている帽子を、咥えてビリビリに引き裂いた。 「どぼぢでいうごどぎがな゙い゙の゙お゙お゙お゙!!!? ばじざのぼーじでじょお゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙!!!!???」 引き裂いた帽子をさらに細かくちぎり、今度は上に乗ってドンドンと踏み潰すまりさ。 「ま、まりさ! おちついてね! たいせつなおぼうしでしょ!?」 「いうごどきかないくそぼーじなんがっ、ばじざのぼーじじゃないよっ!!!! ゆっぐじぢねぇぇっ!!!!」 驚いて止めに入ったありすに体当たりをかますと、再び帽子を踏みつぶすまりさ。 まるで性格の変わってしまった乱暴なまりさを見て、ありすは側でゆぅゆぅと泣いていた。 とんがり帽子が土と見極めがつかないほどボロボロになる頃、まりさはやっと落ち着きを取り戻した。 「ゆぶーっ…ゆぶーっ…ありす、ゆっくりできないぼーしはもういないよ! これでいっしょにゆっくりできるよ!」 「まりさ…おぼうし…いいの? こんなにしちゃって…」 「まりさたちをゆっくりさせないぼーしなんて、まりさのぼーしじゃないよ! ぼーしのことはあとでゆっくりかんがえればいいよ!」 「ゆ……」 冷静さを取り戻したまりさに多少安心したありすは、先に巣に入った。 帽子のないまりさは乱れた金髪を整えようともせずに、続いて穴に入った。 もう、なにも落ちるものはなかった。 「ゆ〜♪ あったかいね!」 「そ、そうね…」 唇が触れる。 これまでは同じ方向を向いて頬を寄せて眠っていたので、ありすはすっかり戸惑ってしまった。 「ゆゆ……ぷるぷる〜!」 ふいに、まりさは自分で「ぷるぷる〜」と言いながらぷるぷると体を震わせた。 「ゆゆ? どうしたの?」 「ゆぅ…ちょっとさむいね」 実は、冷静になったまりさは寒さに震えているのではなかった。 怒りに我を忘れて大切なお帽子をビリビリに引き裂いてしまったことに。 そして、風に頭を冷やされるという慣れない感触に。 他のゆっくりたちからいじめられたらどうしよう…と、そのことに恐怖を感じて震えていた。 「もっと、こっちきてもいいわよ」 「ゆ? いいの? ありすくるしくない?」 「くるしくないわよ。ほら、もっときて。 …ちゅ!」 「ありが…ちゅぅ!?」 ありすは自分から唇を重ねた。 まりさは驚いて固まった。 やがて2匹は唇を離すと、じ〜っと見つめあった。 「あ…ありす…? ありす……ありすぅ! ありすうぅぅぅ!!」 「むほおおおまりさ!! もっとありすをこすってぇ!! めちゃくちゃにしてぇーっ!!」 冬籠りが終わったときに……と。 言葉にせずともお互いの胸の内に秘めていた想いが今、はじけ飛んだ。 かねてから抑制に抑制を重ねてきた交尾への欲求は、ひょんなことから、この狭い穴倉で実現してしまった。 ぬちぬちぬち… ねちゃくちゃぁ… 「ゆひぃ! ゆひぃ! まりさのほっぺ…やわらかくてきもちいいわぁ! もっと、もっと…」 「ゆううぅっふ!! ゆっふ、ゆっふふぅぅぅぅ!! ありすぅ! ありすのほっぺたも、こすりごごちさいこぉなんだぜぇ!!」 ふと気づくと、まりさの口調が変わっている。 単に背伸びしているだけなのか、交尾を始めたことで本当に大人の階段上っちゃってるのか、それはわからない。 ぬっちゅぬっちゅ… 2匹の体からとめどなく流れる粘液が、巣穴の外までも溢れ出して線をつくりだす。 「ゆっへっへっへぇ…ありずのまむまむきもちいいぜぇ……まりざのぺにぺに…しめつけてくるんだぜぇ……」 「ゆはぁぁぁぁぁぁ……いいよぉ……きもちいいよぉ……」 ピタッ ピタッ ピタッ まりさは欲望のままに、ありすにぺにぺにを打ちつけた。 冬籠りがどう…などという話は、もはや餡子脳から消えうせていた。 「ゆひぃ…ゆひっひぃぃ…ひぃ…いいよぉまりさぁ……もっとつよくっ…つよくしてよぉ……」 ありすはうわごとのように「つよくして」を繰り返しながら、焦点の定まらない目で涎をダラダラ垂らしていた。 ありすの希望どおり、思いきりぺにぺにを打ちつけるまりさ。 ピタン! ピタン! ピタン! 「ばりざの! びっぐぺにぺにで! ありずの! いんらんな! ほんしょう! あばい! ぢゃったん! だぜぇ!!」 「いんらん…いんらん……ゆ、そうよ、みぬかれちゃった…ありすは…じつは………い゙ ん゙ ら゙ ん゙ な゙ の゙ よ゙ お゙ っ !!!!!」 何かに吹っ切れたありすが突如ぐるりと振り返り、まりさのぺにぺにはその拍子にちゅぷんと抜けた。 後ろからありすを突いていたまりさは気づかなかった。 ありすの変化を。 ありすの凄絶な表情を! 「ばぁぁぁじぃぃぃざぁぁぁぁぁあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っっ!!!!!!!」 「ゆぎゃぁ!!? やっやめるんだぜあじずっ!!!」 ありすのまむまむが一瞬でぺにぺにへとチェンジし、その大きさはゆっくりの極大値をはるかに超えていた。 ありすの顔とぺにぺにの迫力に縮み上がったまりさ。 暴君となったありすのぺにぺには、問答無用とばかりにまりさの縮み上がった小さなぺにぺにに衝突した。 「ゆっぎえええぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」 ぺにぺにを強制的にまむまむへと変えられたまりさは、悲壮な叫び声をあげた。 「ゆほお゙お゙お゙お゙ばじざのごえっっっがわ゙いいよお゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙っ!!!!」 バスンッ! バスンッ! バスンッ! 「ぎゃあっ!! ばっっ!!! ぎょべえぇぇぇぇぇっ!!! だっ!! だずげでぐれ゙だぜぇ!!!」 巣穴いっぱいに膨張したありすにガップリ組まれてしまったまりさ。 こんな状況ではその場足踏みで半回転などできるわけもなく、まりさは大声で助けを求めた。 そのとき…。 なにかが動いたと思うと、外から月明かりとは別の赤い光が差し込んできて、まりさは穴の外に出された。 まりさの頭をつかんでいたのは、蝋燭をかかげた人間だった。 「こんなところにも巣穴があるのか」 「に、にんげんのおにいさん! ばじざをたすけてくれてかんしゃしてるんだぜ!!」 「だぜ、だと? するってーとコイツはまりさ種だな? このやろう…」 人間の男は帽子のないまりさを奇妙な目で見ていたが、口調からまりさ種だと判別したようだ。 しかもまりさ種に恨みでも持っている様子だが、まりさはそれに気づく余裕など無い。 「そうだぜ! ばじざだぜ! じつは…」 「ちゃんと怖い目に合ってただろうな?」 「そうなんだぜ! じつはあじずにおそわれて……ってそれはだめだぜえええええ!!!!」 早口で説明しようとしたまりさの体は、はやくも真っ二つに割られていた。 「そうかそうか。じゃ、餡子も甘くなってるだろうな。どれどれ…」 人間の右手と左手に均等に分かれたまりさの体。 男はまず、左手にあるまりさの後頭部の切り口から中身を味見した。 「お! あま〜い!」 「な゙っ! なにじでる゙んだぜ!!? やべる゙んだぜ!!! もどにもどずんだぜ!!!」 まりさが必死に叫んでいるうちに、左手のまりさの後頭部は早くも皮だけになった。 …と、まりさがいないことに気づいた発情ありすのくぐもった声が、穴の中から聞こえてくる。 人間はまりさの皮を、ありすのいる巣穴に投げこんだ。 「ゆほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!??」 姿は見えないが、ありすの驚いたような嬉しいような、なんとも言えない叫び声が漏れてきた。 「あ゙あ゙っ!!! ばじざのあ゙だま゙があ゙っ!!!! 「ああ、これもいらないんだよな」 まりさの視界に人間の手が急接近してくる。 まりさは本能的に何をされるのか悟った。 グポッ グポッ 「ゆびゃああああ!!!! ばじざのおべべがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 男は抉り取った目玉も巣穴に投げ入れると、またもやありすの嬌声が上がった。 「ゆぐぅぅぅっ!!! どぼぢでごんなごどずるのお゙!!!?? ばじざな゙んにもじでな゙いのに゙ぃぃぃぃ!!!!」 「俺の山に無断で住みついたお前が悪いんだよ。ゆっくりりかいしてね?」 「ばじざはぎょおごごにぎだばっかじなのにぃぃぃぃ!!!!」 「じゃあ今日一日分の家賃、お前の体で払ってね! …こんの泥棒ゆっくりがっ!!」 「ばじざはどどぼーじゃないよぉぉぉぉぉ!!!! だげのごだっでどっでないのに゙ぃぃぃぃぃ!!!!」 「お前もタケノコ狙いかよ。じゃあ来年のタケノコの代金、お前の体で前払いしてね! …こんの泥棒予備ゆっくりがっ!!」 「なにいっでるのがわがんないよおおおおおおおおお!!!!」 あわれ……。 希望を抱いて新天地にたどりついた若いまりさは、その希望をなにひとつ叶えられないまま、見知らぬ人間に餡子を提供してその生涯を終えた。 まりさの餡子を堪能し終わった男は、腰をかがめて地面の巣を覗いてみた。 中にいたありすは、体中黄色いカスタードにまみれてグズグズになっていた。 まりさの皮を体に巻きつけて、えげつない顔でニヤニヤ笑いながらへっこへっこと体を振っている。 口の中でしゃぶっているのは、まりさの二つの目玉だった。 「ゆげへへぇ……ばじざぁ……ゆへぇ……どべべべー」 「やれやれ…」 男は持ってきた鉤付き棒で狂ったようにニヤニヤ笑っているありすを穴から出すと、荷車に積んでいた大袋に入れて口を閉めた。 「ゆ!」 「ゆゆ!?」 「ゆっゆっゆっ」 中にいるのは全てありす種。 無類の餡子好きのこの男にカスタードは必要ないので、加工所か甘味屋に売るつもりだった。 結局、一部始終を知らない男は、狂ったレイパーありすがまりさを襲っていたのだと思った。 ついさっきまでこの2匹が愛し合い、将来を約束していたなどとは夢にも思わなかった。 夜も更け、夜空は今にも雪が降らん厚い雲に覆われる。 タケノコの噂を聞きつけ、この竹山にたくさんのゆっくりが押し寄せて越冬の準備をしていることを、男はまだ知らない。 つづく 〜あとがき〜 あけましておめでとうございマス(人〃▽〃) お餅ばっか食べてゆっくりしてました (〃▽〃人) このシリーズ『竹取り男とゆっくり』は、一応続き物です。 が、どこから読んでくださってもいいように、なるべく各話独立させてます。 でわ、キャラ紹介します。 男・・・主人公。竹切って売って生活してる人。餡子好き。 甘味屋の店主・・・ゆっくり饅頭を売ってる人。虐待好き。 ゆっくり全般・・・ヒロイン(笑) これ最初に書いとけってばよ自分。。。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3604.html
ペットショップで、売れ残ったれいむを貰った。 「おにいさん、ゆっくりしていってね!」 「うっせえ!テメー、ブサイクで生ゴミだから売れなかったんだよ。ゆっくり理解しろボケ饅頭が」 「どぼじでぞんなごどいうのぉおおおお!!!!」 家に連れて帰って来たが、真面目に飼う気などない。 まあ、最初のうちはちょっとくらい可愛がっても良いが。 「さっさとケージから出ろ」 ケージに入ったれいむを掴む。 すると、手になんとも温かくふくよかな感触が返ってきた。 「おおぉおっ!?」 「ゆゆ?」 いつも潰して遊んでる野良の生ゴミ共とは違う。 やはりペットショップのゆっくりだけあって、なんとも高品質だ。 もっちりとした皮は、ベビーハウダーをまぶしたようなスベスベ感がある。 たまらん。 俺はれいむを持ち上げ、顔を見合わせた。 「ゆ・・・!おねがいだよ!ゆっくりしていってね!」 「よーし、ゆっくりしてやろう!」 れいむの頬に、俺の頬を押しあてた。 「ゆっ!?や、やめてねえぇっ!!?」 れいむが嫌がっているようだが、俺は無視する。 すーりすり。 「お~。スベスベして気持ちいい~」 「やめてええええ!!すりすりはだめだよおぉおお!!」 れいむから、少しネチョネチョした液が出てきた。 まあ俺はそんなことは気にしない。 甘いニオイと、すべすべつるつる。 とっても気持ちいいのだ。 「んほぉおおっ!!れいむのホッペ気持ちいいぃいいい!!!」 「ぼうやべでぇえええっ!!ずっ!!ずっぎりじじゃううぅうう!!!」 次の瞬間、れいむはビクンと震えたかと思うと動きを止めた。 そして目を輝かせながら言った。 「すっきりぃいー!!!」 3分後、れいむの頭には青々とした茎が生えていた。 「避妊手術してなかったんかい・・・」 俺はれいむの頭から伸びた茎を見た。 小さな実が8つほど実っている。 まだ何種のゆっくりなのかはよく分からない。 「れいむとおにーさんのあかちゃんだよ!すごくゆっくりしたあかちゃんだね!」 そんなことを言っている内に、どんどん実は大きくなる。 8つのうち4つはれいむ種のようだった。 リボンの形がよく分かる。 「んー、こっちのはなんだ?」 残り4匹は目や口は構成されているが、髪の毛や装飾品がない。 しばらく見ていたが、ハゲ饅頭が大きくなっていくだけであった。 「ゆっきゅり!」 「ゆきゅーり!」 「ゆっくち!」 「ゆっくちぃ!」 「ゆっくてぃ!」 「ゆっくちぃぃ!!」 「ゆくち!」 [ゆっきゅりぃぃ!」 10分で赤ゆっくりは生まれた。 やはり4匹がれいむ種で、4匹が装飾品無しのハゲ饅頭だ。 特に体が弱っている様子もない。 「おとーしゃん!おきゃーしゃん!ゆっくちちちぇいっちぇね!」 「ゆゆー!!れいむのおにーさんのあかちゃんすごくゆっくりしてるよぉおお!!!」 感極まって泣き始めた親れいむ。 俺はどれから潰そうか考えていた。 「おにいさん!このこたちはおにいさんにすごくソックリだよ!!ゆっくりしてるね!」 れいむがそういって、ハゲ饅頭4匹をこちらに見せた。 つい、口から笑い声がこぼれる。 れいむは何を勘違いしたのか、俺が喜んでいるとでも思っているようだった。 「それは俺がハゲだってことかぁあああオラァアアアアアッ!!!!!」 手前にいたハゲ饅頭2匹を踏みつぶし、れいむ種の赤ゆっくり4匹を手に取った。 「おとーしゃんやめちぇえええ!!」 「ゆっぴぃぃいっ!!きょわいぃいいい!!!」 「たちゅけちぇええええ!!!」 「どぽぴぴぇぴょんみゃぴょぴょちゅりゅにょぉおおおっ!!?」 「どぼじで・・・!どぼじでごんなごどずるのぉおお!?れいぶどおにーざんのあいのけっしょうがぁああっ!!」 「うるせぇええっ!!テメーが髪の毛生えた子供産むまで何百回も子供殺してやるわボケぇええっ!!!」 赤れいむ4匹をハゲ饅頭2匹に向かって叩きつけ、俺はれいむを透明な箱に閉じ込めた。 これから髪の毛が生えた赤ゆっくりが生まれるまで、可愛がってあげることにしよう。 なんて俺は優しいんだ。 おわり。 作:ユユー
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/974.html
俺設定満載ですとも!! 初投稿なのでご容赦を; 現在、私の家には二匹(?)のゆっくりの夫婦が保護されてている。私が連れてきたのだ。 三十分程前だろうか…此処、「幻想卿」で私はいわゆる運送業を営んでいた。 しかし場所が場所、おまけに私は数年前にこの世界に迷い込んだ人間、 いわば「余所者」だ。そんな私に顧客など付くはずも無く、たまに注文を受けては気ままに運ぶ、というものだった。 毎日が気ままで、自分が暮らせる程度の糧を得られれば良かったので、苦には感じなかった。 そんな気ままな日々の中、私は彼等と出会った。 「でいぶをゆっくりばなじずんだぜぇぇぇ!!」 「ばりざぁぁぁ!!ゆっくりでぎないよぉぉぉぉ!!ずっぎりぃぃ!!」 仕事帰りの冬の夜道にその叫び声は響いていた。何事かと駆け付けてみると、泣き叫ぶゆっくり霊夢の上に男が覆いかぶさっていた。 おそらく霊夢の夫であろうゆっくり魔理沙は男にやられたのだろう、透明な四角い箱に閉じ込められていた。 「ああああぁぁ!!霊夢かわいいよ霊夢ゥゥゥゥ!!」 男は霊夢に頬ずりをしながらなんだろう、ちょっとアレな事をしていた。 つまりレイパーお兄さんの様だ。 別にゆっくりがどうなろうが知ったことでは無いのだが、居合わせた以上助けるのが筋という物だろう。 多少ながら腕っ節には心得があったので、二匹を助けることにした。 「そこの君、なにをしているんだね?」 男は動きを止めると振り向き様に襲い掛かってきた。 一応妖怪に分類されるだけあり、素早い反応をしてくる。だが、こんな者に手こずる様では此処の運送屋は勤まらない。 「シッショー!!」 「ハッハッハァァー!!・・・・・・・勝利ナド容易イ・・・・!!」 勝負は一瞬で付いた。 そして数分後・・・ 二匹は私の家に保護されていた。二匹は完全に錯乱していて訳の分からない事を口走っていた。 「もうずっぎりイヤァァァァ!!!ゆっぐじじだいぃぃぃ!!」 「でいぶぅぅぅぅ!!ゆっぐじじようぜぇぇぇ!!ここは魔理沙だじのおうぢだぜぇぇぇ!!ゆっぐじくぁwせdr.....!!」 ちゃっかりオウチ宣言をしてるあたり魔理沙の方が多少落ち着いてると言えよう。 まずは魔理沙に話を聞いてみることにした。 「いったいなんでこんな事になったんだ?」 「うわぁぁぁぁ!!おじさんだれなんだぜ!ゆっくりれいむからはなれてね!!」 魔理沙は霊夢を庇うように眼前に立ちはだかった。良く見ると微かに震えを隠せないようだ。 というか、助けてあげたのにこの扱い・・・私は軽くうなだれながら魔理沙を諭した。 「落ち着け、さっきのお兄さんはいなくなった。もう此処は安全だ。とりあえず帽子を直せ、落ち着かん。」 怖がらせない様に出来るだけゆっくりと話し、ズレている帽子を直してやる。 「ゆぅ!?ありがとね!・・・ほんとだ、おにいさんがいないぜ。」 周囲を確認してやっと今の状況に気がついたようだ。 「さっきはごめんねおじさん!たすけてくれてありがとだぜ!!」 一先ず落ち着いてくれたようだ。 「調子がいいのか素直なのか・・・何はともあれ落ち着いてくれてなによりだ。」 魔理沙が落ち着いた頃、霊夢は疲れてしまったのだろう。死んだように眠っている。 とりあえず今話せる状態なのは魔理沙だけだ。私は彼(彼女?)にここに至るまでの経緯を聞く事にした。 よっぽどの事が無ければゆっくりは人里には下りてこない。なにかしら事情があったのだろう。 「一体何故こんな危険を冒してまでこっちに下りて来たんだい?」 彼は私を危険では無いと判断したのだろう。吐き出すように事の次第を話していった。 冬場の蓄えがたりず越冬が出来なくなった事。その足りない食料を確保するために栄養価の高い人間の食べ物が必要だった事。 探し回った挙句お兄さんにチョコで釣られてしまった事。子供がまだ巣に居て二人の食料を待っているという事。 数分後・・・・ 気づくと私は魔理沙達の巣の前に佇んでいた。 なにをやっているんだ私は・・・まさか自分が行きずりのゆっくりの為にここまでするとは思っていなかった。 彼のすがる様な眼を見たら・・・その・・・行くしかないじゃない!! 警戒させないようにゆっくり巣に近づく。なにやら声が聞こえる。 「おにいしゃんはゆっくちできりゅひと?」 「ああ、出来るとも・・・君達が居ればなぁぁぁぁ!!!!」 「ゆぎゃぁぁぁ!!ゆっくちやめちぇにぇぇぇぇ!!」 嗚呼、またお前か。 「君ノ死二場所ハ此処ダ!!!」 「シッショー!」 数秒後・・・ 一言で言おう。MAXで警戒されてしまった。 たしかにゆっくりにはちょっとショックが強すぎたようだ。 「ゆっくりでちぇってにぇ!!」 震えながら固まっている。衰弱しているのだろう、色がくすんでいる。 しょうがない、奥の手を使わざるを得ない・・・・ 「君達!あまあまは好きかい!?」 クッ!どこぞのお兄さんと同類になったようで虫唾が走る・・・ 「だいちゅきー!!」 「引っかかるのか・・・血は争えないか・・・・フフ・・」 ふと笑みがこぼれる、笑ったのは何ヶ月ぶりだろうか。 だがまだ楽観視は出来ない。多少栄養を採ったとはいえまだ到底足りていない。急がなければ・・・ 「君達ちょっと荒っぽいが・・・許せよ。」 「ゆっきゅりがんばりゅよ!!」 全身に力を込める・・・(※赤ゆっくり達にはちゃんと安全策をとってます) 「我が運送業最終奥義!阿修○閃空!!」 「ゆっくちしちぇいってねえええぇぇぇぇ.....」 コンマ数秒後・・・ 「もう・・・生きて・・・俺の・・・塵・・」 どこぞの塵閣下のようになった赤ゆっくり達を魔理沙達の傍らに置く。 パパッと栄養を採れるようにあむぁーいホットミルクを飲ませる。 「ごーくごーく・・・・ちあわしぇー!!」 もうツヤッツヤ、ツヤッツヤである。 当の魔理沙はさっきの出来事で相当疲れてた様で、熟睡している。 口の周りに食べかすが付いている・・・急いでいて冷蔵庫の中は確認していなかったが、だいたい想像はつく。 ちゃっかり霊夢にも食べかすが付いていた。 赤ゆっくり達も安心したようで二匹に寄り添って寝てしまった。 さて、私も少々疲れた、そろそろ寝るとしよう。ゆっくり一家に毛布をかぶせ、私も床に就いた。 そして夜が明けた。 「あがぢゃあぁぁぁん!!でいぶのあがぢゃああぁぁん!ばりざぁぁぁ!あがぢゃんがいるよぉぉぉ!!」 「ぼんどだああぁぁぁ!すごいゆっくりしてるぜぇぇぇぇぇ!!」 騒々しい叫び声に叩き起こされる。 「何事だ、騒々しい。」 不機嫌に起き上がり様子を見に行く。 見ると霊夢と魔理沙が赤ゆっくりの周りをボンボン跳ねている。よほど嬉しいのだろうか。 とりあえず声をかける。 「意外に元気そうじゃないか。」 ピタッと二匹の動きが止まりゆっくりとこちらに振り向く・・・ 「おじざぁぁぁぁん!!ありがどおぉぉぉ!!」 体当たりに近い勢いで飛び込んできた。 「To!Easy!!」 「ゆぎゃあああぁぁぁぁぁ!!」 「Die.....Yabo.....」 おじさんは寝起きが悪いとついやっちゃうんだ☆ 「ゆっぐ・・・ひどいよ!おじさん!」 顔から落ちた様で、涙目で怒られた。 「いや~、すまんすまん・・・」 「ゆっぐ・・・ゆっぐ・・・」 「まりさをいじめないでね!!まりさをいじめるやつはれいむがゆるさないよ!!!」 魔理沙の傍らに霊夢が寄り添う。 「だからすまなかったと言ってるだろう・・・」 早朝から二回も怒られてしまった。 やっと魔理沙が泣き止んでくれた・・・・ 「もう!おじさんいたいよ!!」 「ああ、許せ許せ・・・」 ワシャワシャと魔理沙の頭を撫でてやる。 「ゆへへへ、わかればいいんだぜ~!」 案外まんざらでもない様だ。 「ゆゆ~!魔理沙ばっかりずるいよ!!」 お前はさっきまで私に怒っていた気がするんだが・・・まぁいい・・同じく撫でてやる。 「ゆ~!ゆっくりなでてってね!!」 こちらもご満悦である。 この家に居る経緯については魔理沙が説明していた様で、霊夢は余程怖かったらしく泣き出してしまった。 それをなだめる魔理沙もまた少し泣いている。魔理沙も子供達への思いと自分の夫としての責任感で踏ん張っていたのだろう。 それを見るうちに私の中に不思議な感情が沸きあがってくる・・・ これまでは、ただ自分のために働いてきた。 自分が食べるため、暮らすため、楽しむため。最初は良かった。 気ままに暮らし、気ままに食べ、気ままに遊ぶ。それで良かった。楽しかった。 だが、ある日から虚しく感じた。抱えるもの、背負うものの無い日々はただ不毛のように感じていた。 彼等を助け、その笑顔を見たとき、私は確かに満たされていた。 気付くと、私は彼等に声を掛けていた。 「君達、ウチで働いてみないか?」 自分でも驚いていた。 二匹も戸惑っている様子だった。 私は言葉を続けた。 「巣は先客にほぼ潰されてしまって使い物にならなくなっていた。巣が無くては越冬は難しいだろう・・・なに、ちょっと手伝ってくれるのなら 生涯住む場所と飯を保障しようというのだよ。」 「おじさん!それほんとう!?」 霊夢がすかさず食いついた。 「だめだぜ!」 その声を遮ったのは意外な事に魔理沙だった。 「ここまでしてもらったのにおうちまでもらうわけにはいかないんだぜ!!」 当然といえば当然だろう。襲われている所を助けられ、食料だけでは無く子供まで助けて貰ったのだ。 これ以上何か望むのは罰が当たる。というものだろう。 「ゆ~!まりさ!なんでだめなの!」 「れいむはだまってるんだぜ!!」 不満そうな霊夢を魔理沙が一括する。 「とにかくまりさたちはじぶんたちでゆっくりプレイスをさがせるからへいきなんだぜ!!」 外は猛吹雪、屋内から出ればたちまち遭難してしまうだろう・・・ 運よく巣まで帰れたとしても餌はおろか防寒用の草すら無い。 この家族が全滅するのは目に見えている。 しかし、これ以上恩を受けるのは魔理沙のゆっくりとしてのプライドが許さなかった。 「君は何か大きな勘違いをしていないか?」 私は更に言葉を続けた。 「まさか、私が同情や情けで君達を住まわせようとしている。そう思ってるのでは無いのか?」 魔理沙が驚いた顔で振り返る。 「ゆ?ちがうの?」 私は真剣な顔で魔理沙に語りかける。 「違うな、私は君をスカウトしているのだよ。わが社で働いて欲しいとね。それに、恩を受けたら返すのが筋という物だろう? ならば、わが社で働き少しずつでも貢献してくれれば私としても助かる。つまりギブアンドテイクだ。住居の保障はおまけの 様なものだ。生憎、社員が一人も居なくてな・・・部屋なら空いている。どうだ?わが社で働いてはくれないか?」 「ゆゆぅ~・・・」 魔理沙は私の眼をジッとている。 しばらくすると「ゆっふっふっふ」と不敵に笑うと胸(あご?)を張った。 「そこまでたのまれたらことわれないぜ!おじさんのかいしゃでまりさの「びんわん」をふるってやるぜ!!」 「決まりだな!よし!君達は今日からわが社の社員だ!よろしく頼むぞ!!」 「ゆっくりまかせてね!!」 「ゆ~!まりさかっこいい~!!」 霊夢に褒められて魔理沙の胸(?)は燃える闘魂のようにシャクれていた。 「よし、じゃあ別室で契約書を書くから魔理沙君!付いて来たまえ!」 「ゆ!ゆっくりりかいしたよ!!」 「がんばってねまりさ!!」 霊夢が魔理沙に頬を寄せる。 「て、てれるぜれいむ~!」 「あ、霊夢君、君も育児終わったらバッチリ前線に来てもらうぞ!!」 「ゆがーーーん!!!」 歯茎をむき出し真っ白になっている霊夢を置いて魔理沙と別室に移動する。 契約内容をざらっと説明していく(あくまで形式的なもの) 最初は魔理沙も「ゆ!」、「ゆっくりりかいしたよ!」などと元気に返事をしていたが、「ゆ、」、「ゆぅ」と元気が無くなっていった。 「どうしたんだ、魔理沙君」 見ると魔理沙は泣いていた。ボロボロと涙を流していた。 「おじざん、ありがどう!!」 契約書は涙で滲んでしまっていた。 「フン、ウチは厳しいからな、覚悟しておけよ。あとおじさんっていうな、社長と呼べ。」 ニヤっと笑いながら魔理沙の頭をポンと叩く。小さく「ゆッ」と返事が聞こえた。 契約が終わる頃下の階が騒がしくなってくる。 「お、子供達が起きたようだな。ほら、いつまで泣いてるんだ。父親だろう。ビシっと決めていけ!」 魔理沙の帽子に社のエンブレムを付けてやる。 「さぁ、今日から忙しくなるぞ!魔理沙君!!」 「いわれなくてもわかってるよ社長!!」 魔理沙は忙しく一階にドタドタ下りていった。 「こらー!ゆっくりしてなきゃだめなんだぜー!!」 「まりさぁぁぁ!!そのこつかまえてぇぇぇ!!」 下から賑やかな声が聞こえてくる。 「ふぅ、先が思いやられるな・・・」 一人頭を抱えるが、その顔はどこか嬉しそうで晴々としていた。 数ヶ月後・・・ そこにはゆっくりと人間が運営する運送屋が根付いていた。 社員は魔理沙と霊夢と子供達を加えて5~6人(匹?)程だがその仕事ぶりから周囲から評価されていた。 「ゆ~!まりさ!こーまかんに「まどうしょ」のはいたつだってー!!」 「ゆぅ~!社長はどうしたんだぜ~!」 「社長はおちびたちに「うんそうのしどう」だって~!!」 「ゆぅ~しかたない、ゆっくりすみやかにいってくるぜ!!!」 その頃・・・紅魔館・・・ 門番の美鈴さん運送受諾の連絡を受けていた。 「魔道書ね…来るまで少し掛かるだろうし少しお昼寝でも……あら…うそ……」 スィー… 「またせたぜ!ゆっくりうんそうだぜーー!!」 ゆっくり運送は今日も忙しい。 「おまけに限りなく近い何か」 紅魔館から魔理沙が帰ってきた。 「おぉ、帰ったかご苦労さん!魔理沙くん。」 「ゆっくりかえったぜ!つかれたんだぜ~!」 「お疲れの所申し訳ないんだが、台所の冷蔵庫の中身が弾けて混ざってるんだが…なにか知らんかね?」 「ゆ!?…ゆっゆ~♪たぶんどろぼうさんなんだぜ!」 「ほぅ、魔理沙君、この監視カメラの映像を見てくれ。コイツをどう思う…?」 そこには冷蔵庫を漁る魔理沙の姿が!! 「すごく…高画質です…」 「君ノ死二場所ハ此処ダ!!」 「ゆぎゃあああぁぁぁぁぁ!!ごべんなざああぁぁい!」 今日も社内は賑やかですw 楽しませてもらったよ、だけど一部の表現を嫌う人もいるから気をつけてね 続きも見たいね -- 名無しさん (2009-03-31 09 20 30) 読んで下さって有難う御座いますorz 確かにアレ(恐らくレイパー表現でしょうか?)の表現は我ながら頂けませんね。 そこに気を配りつつ、精進したいと思います。 -- 作者 (2009-03-31 18 30 08) ギリギリなネタは結構好きです。 どの辺りまでならやっても大丈夫なのかはここのssを色々読んだり、 ssがスレに投下された際の反応を最近の過去ログで見るといいですよ。 基本的には東方創想話レベルの表現なら大丈夫かと。 (産廃創想話と東方夜伽話レベルはちとキツイかも) -- 名無しさん (2009-03-31 19 05 10) なるほど、一応他の方の作品も参考にさせて頂いているのですが。 何分新米なもので、至らぬ所もあるかと思います。 私自身、出来るだけ楽しんで頂ける様な作品を作りたいと思っていますので、 より一層の精進を心がけたいと思います。 -- 作者 (2009-04-01 02 40 25) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/723.html
八意永琳は常人には理解不能な思いつきでとんでもないゆっくりまりさを作ってしまった! そのとんでもないゆっくりまりさはなんと・・・ある特定の言葉を喋ると口から弾幕が出るのだ! 弾幕発生に関わる言葉は6つ! そして八意永琳は何の意味も無い好奇心からそのとんでもまりさを野に放った! 野に放たれたトンデモまりさは、お腹が空いたので手近な草を口にした。 少し苦味を伴うがどこか高貴な香りが口の中に広がるそれは決して不味くはない草だった。 「うっめ!これめっちゃうめ・・・え?」 もう一口と思ったそのとき、さっきまでそこにあったはずの草が跡形も無く消え去っていた。 キーワードその1「うっめ!」 この言葉を唱えるとマジックミサイルのゆっくり版、ゆっくりミサイルを発射することが出来る。 落胆しながらしばらく歩いていると、森の中でゆっくりれいむの家族に出会った。 「「ゆっくちちちぇってね!」」 ゆっくりお約束の言葉でまりさに挨拶するちびれいむたち。 その姿を見たトンデモまりさは内心「可愛らしいな~」と思いつつ返事をした。 「ゆっくりしていってね!」 次の瞬間、ちびれいむたちの体が半分ほど黒コゲになっていた。 キーワードその2「ゆっくりしていってね!」 この言葉の場合、マスタースパークのゆっくり版、ゆっくりスパークが撃てる。 「どぼぢでそんなごとずるのおおおおおお!!」 実は弾幕を使用したとき、トンデモまりさはどこかの魔物の子どものように意識を失う。 つまり、何故ちびれいむが焦げているのかも、何故自分が責められているのかも理解できない。 「ゆ!?まりさはなにもしてないんだぜ!!」 「そんなうどついたってだめだよ!!まりさがでいぶのごどぼだぢをおおおおおおおお!!!」 「ま、まりさはわるくないんだぜっ!?」 気がつけば、さっきまで自分を責めていたれいむのリボンが吹っ飛ばされていた。 キーワードその3「まりさはわるくないんだぜ!」 この言葉を用いたとき、スターダストレヴァリエのゆっくり版、ゆっくりダストレヴァリエが解き放たれる。 リボンを失ったショックで子どもを失った悲しみを忘れたれいむは、リボンが無くても冷遇しないまりさのパートナーになった。 世の中って奴はいつ何が起きるか本当に分からないものだ。作者にさえも分からないほどに。 そんなわけで一緒に暮らし始めたまりさとれいむはとりあえず一緒にすっきりすることにした。 れいむはテクニシャンだった。その妙技でまりさはあっという間に絶頂寸前になってしまった。 そして・・・「んほおおおおおおおお!・・・・・・すっきりー!!」 「すっきりー!!」という言葉を口にしたときにはれいむは冷たくなっていた。 キーワードその4「んほおおおおおおおおおお!」 この言葉には凍結魔法コールドインフェルノのゆっくり版、コールドゆっくりノを発動させる機能があった。 しかし、奇跡的にもれいむとまりさの子どもは無事だった。 れいむの頭に生えてきた茎に、小さなゆっくりたちがゆっくりと育っている。 初めて見る生命の誕生の瞬間にまりさは感動した。 「まりさとれいむのこどもだよ~。ゆっくりしたこどもになるんだぜ~♪」 何故か10匹あまりいたはずの生まれる前のゆっくりが全滅していた。 キーワードその5「ゆっくりしたこ」 この言葉を用いるとオーレリーズサンのゆっくり版、ゆっくりーズサンが発動し、ゆっくりしている相手を的確に殲滅するのだ。 流石にここまで来るとまりさだって何かがおかしいことに気付く。 しかし、何がおかしいのか分からない。自分が何かをした覚えも無い。 なのに気がつけば自分以外がとんでもない目に遭っている。 その状態に恐怖したまりさは泣き出してしまった。 「これじゃゆっぐりでぎないよおおおおおおおおお!!」 気がつけばまりさは地上20メートル以上の場所を浮遊していた。 キーワードその6「これじゃゆっくりできないよ!」 この言葉を使うとブレイジングスターのゆっくり版、ゆっくリングスターが発動する。 ただし、この時にものに激突すると自分が潰れるし、空に向かっていっても落下して結局自分が潰れるだけ。 せいぜい草のおかげで柔らかい平地なんかで逃げるときにしか使えないだろう。 そんなわけで、まりさは地面にたたきつけられた。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/132.html
ゆっくりの鬚 11KB ※先日のスレでゆっくりにヒゲを生やしたらどうなる?という話題が出たので書いてみました その日、俺は公園で日課のジョギングをしていた。 河川敷を走り、端を渡り、公園を一周して元来た道を返す。 ショップのバイトも楽じゃない。 毎日毎日100匹近いゆっくりの相手をしなければならないのだ。 隙を見て逃げ出そうとする奴、身の程知らずにも人間を倒そうとする奴、大切な商品とすり替わろうとする野良etcetc...。 タチの悪い馬鹿ばっかりだ。 そんな奴らに万が一にも後れを取るわけにはいかない。 ゆっくりへの悪態をつきながら、黙々と走る。 公園に差し掛かった。 日は沈みかけ、外灯が照らすベンチに、二匹のゆっくりが見える。 野良だな。 折角だ、踏み潰してから帰ろう。 俺は近づいた。 「まりさ…ごめんね…れいむはもういっしょにゆっくりできないよ…」 「れいむぅ!?どうしてそんなこというのおおおおおおおおお!!!」 ああ? なんか面倒くさい場面に遭遇してしまったな。 よく見ると、れいむの身体は黒ずんでいる。 ベンチの下にはありすの死骸。 どうやら、あの番のれいむがれいぱーありすに襲われてしまったらしい。 「まりさ…たすけてくれてありがとう…ごめんね…ごめんね…」 「れいむ!?しっかりするんだぜれいむ!いっしょにゆっくりするってやくそくだぜ!!」 「まりさ…。ゆっくり…していってね……!」 「れいむ!ありすはまりさがたおしたよ!ゆっくりできるんだよ!!めをあけるんだぜ!れいむ!!!」 「………」 れいむは答えなかった。 最後の力を振り絞り、番のまりさに言葉を伝えた。 まりさは無力感に打ちひしがれ、ただれいむ、れいむとうわごとのように繰り返すだけだ。 「おい」 俺は話しかけた。 「!!」 「そのれいむ、お前の番か」 「や、やめるんだぜ!れいむはもうゆっくりできないんだぜ!さわらないでね!!」 身体を膨らまして威嚇された。 しかし、身体はがたがたと震えている。 目にはれいむを失った悲しみと、れいむの死骸を誰にも渡さないという決意と、人間に対する恐怖があった。 「心配すんな。お前のれいむに手を出す気はねぇ」 「だったら…だったらあっちにいってほしいんだぜ…!まりさはれいむとふたりで、さいごのゆっくりをしたいんだぜ…!!」 必死に涙を耐えながら、ただそれだけを搾り出すまりさ。 なるほどな…ちょっと、憐れだ。 そうしてしばらく眺めているうちに、ふと、俺はいいことを思いついた。 「なあ、まりさ。そのれいむと、一生一緒にいられるようにしてやろうか」 「ゆゆ!?」 「そのれいむは死んでる。生き返らせることは出来ない」 「しってるぜ…。いくらにんげんさんでも、それはむりなのぜ…」 「だが、そのれいむの体の一部をお前に取り付けてやることは出来る」 「ほ、ほんとうなのぜ!?」 「ああ、まだ死んで間もないなら、腐ることもないと思う」 「やってほしいのぜ!まりさはれいむとしぬまでゆっくりするってやくそくしたんだぜ!!」 「だが…。お前、そうすると他のゆっくりからいじめられるかもしれんぞ。そうするとゆっくり出来なくなる。いいのか?」 「やってほしいんだぜ!!」 即答。 いいだろ、ちゃんとやってやる。 俺も、たまには優しい気持ちになるさ。 家にれいむの死骸とまりさを連れて行き、俺はバイト先の店長に電話をかけた。 こいつに移植するための道具は一式揃ってるが、どうしても欲しいものがあった。 それを店長に告げると怪訝な声が帰ってきたが、目的を言うと快くオーケーの返事。 もうすぐ店を閉めるというので、帰りに持ってきてくれると言っていた。 「で、まりさ。お前はれいむのどこが欲しいんだ?」 「かみだよ!れいむのかみはくろくてすべすべで、とってもゆっくりできたんだよ!」 髪、ねぇ。 「わかった。お前にはちょっとキツいだろうから、ちょっとあっち行ってろ。 れいむの髪を取り終わったら、俺が埋めておいてやる」 「ありがとうだぜ!」 髪を頭皮とその下の餡ごと剥ぎ取り、オレンジジュースで満たしたタッパーに入れる。 まりさにつけた時、拒否反応がおきないようにするためだ。 鮮度が命。 「おい、まりさ、ちょっとれいむを埋めてくるからな…?」 「ゆぅ…ゆぅ…」 声をかけるとまりさは眠っていた。 緊張とショックの連続だったんだろう。 寝かしておいてやるか…。 れいむを埋め終わった所で、丁度店長からメールが来た。 家に着いたらしい。 「店長、わざわざすみません」 「面白そうだから気にしなくていいよ。宅飲みで何度もお邪魔してるし、店から近いしね」 笑顔の店長に、ドアをあけて中へ入るよう促す。 「何もお出しできないんですけど…」 「気にしない気にしない。それより、早く始めようよ」 店長はゆっくりが気になって仕方がないらしい。 じゃあ、始めるか…。 やることは簡単だ。 薬箱からゆっくり用の睡眠薬と注射器を取り出し、眠ったまりさを起きないようにする。 顎の皮を丁寧に剥ぎ、先ほどれいむの死骸から剥ぎ取った髪を移植。 ただし、その間にちょっとした仕掛け、店長が持ってきてくれたブツを使用する。 まぁ、それは後ほど。 手術を終え、傷口にオレンジジュースを丁寧にぬっていると、隣で店長が噴出す音が聞こえた。 俺は、なんとか、堪えている。 だってコレ。 「鬚ッ…これ…鬚だよ……ッ!!!」 そう。 鬚だもんよ!! まりさに黒く艶やかな鬚が生えている。 店長も俺も、笑い死にしそうだ。 あとは、麻酔が切れる時間に先ほどの公園にいるよう、計算しながら戻してやる。 細工は流々仕上げを御覧じろ、か。 「店長、モニタどうです?」 「良好良好。綺麗に写ってるし、寝息も聞こえてる。成功だねこれ!」 翌朝、朝一で出勤した俺を、笑顔の店長が出迎えた。 昨日のまりさの額に施した仕掛けがうまくいっていたらしい。 施した仕掛け。 それは超小型のカメラとマイクだ。 れいむの一部をまりさに移植する、となった時、俺がひらめいたのはこれだった。 どこであれ、れいむの一部を移植されたまりさは異形の存在になる。 他の野良ゆっくり達のリアルな反応を見てみたいと思ったのだ。 面白い反応を期待して、だ。 だから肌の一部だとか、そんなパッと見わかりにくいものを言い出したら、勝手に弄ってやろうと考えていた。 まさか、あんな面白い顔になろうとするとは思わなかったが。 『ゆ…れいむ…あさだぜ…』 「…!おきた!おきたよ…!」 声を潜める店長。 「店長、声潜めなくてもあいつには聞こえませんって」 つい、と店長は頭をかく。 男がやっても色気は無ぇなぁ。 『ゆ…?そうか…そうだぜ。れいむはもういないんだぜ…。 でも…この、れいむのかみがあるから、まりさはさびしくなんかないんだぜ! れいむ!これからずっとまりさとゆっくりしようね!!』 こうしてヒゲまりさは誕生した。 それから。 俺と店長は仕事があるので交替でモニタを見張ることにした。 録画はしてあるが、やっぱり面白い場面はリアルタイムで見たい。 『ゆっゆーん♪』 まりさは上機嫌で跳ね回っている。 画面酔いしそうだ…。 『…!』 『どうだぜ!?れいむのかみは!とってもきれいでゆっくりできるんだぜ!』 自慢げにまりさは話すが、どのゆっくりも何も言わずに逃げて行く。 『…ふん!このかみのかちをりかいできないくずはさっさとしぬがいいんだぜ』 負け惜しみのように呟いて、まりさは跳ね回るのを続けた。 跳ね回る。 自慢する。 無視される。 負け惜しみ。 跳ね回る。 そんなくだらないループが延々と続く。 店が閉まるころには、俺も店長も、いい加減疲れはてていた。 「これ、駄目だったんですかねぇ…」 「僕もいけると思ったんだけどなぁ…」 「バッテリー…どんくらいもちますっけぇ…」 「んー…2日くらい」 「明日は面白いことあるといいですねぇ…」 「あー…一昨日死んだゆっくりにでも祈っとくよぉ…」 「どれっすかー…10匹くらい死にましたけどー」 「どれでもいいわぁ…」 こうして観察の一日目は、徒労感だけを残して終わってしまった。 翌朝早朝。 俺は携帯の着信で叩き起こされた。 『大変だ!今すぐ店に来てくれ!面白いことになってる!!』 それだけ言ってきれた。 店長から、だよなぁ…。 寝ぼけていまひとつ判別できなかった。 俺はボサボサの髪をごまかすために帽子だけかぶって店に向った。 こういう時、バイト先が近いのは便利だ。 「おはようざいあーす」 「遅いよ!早く!まだ始まってないから!急いで!!」 俺はまだ半分眠ってる感じだ。 だが、モニタを覗き込むと、その眠気も吹き飛んだ。 「なんじゃこりゃ」 見ると、まりさのヒゲに色々なゆっくりが擦り寄ってきているではないか。 『まりさのおひげ…とってもゆっくりできるよ…すーりすーり……』 『これはおひげじゃないよ!れいむのかみだよ!』 『ずるいよ!れいむにもすりすりさせてね!』 どこか熱に浮かされたような表情で擦り寄るゆっくりたち。 「店長!これは一体!?」 「僕もはじめて見たよ…。っていうか、そもそも普通は髪をヒゲみたく移植しようとは思わないしね」 「ぐ…」 「ただ、これは僕の推測なんだけど…」 ゆっくりの出すフェロモンが関わっているのではないか。 店長はそう言った。 ゆっくりたちは、頬をすり合わせることによってお互いの愛情を表現しあう。 店長の持論だと、それは頬から出るフェロモンが一番濃いからなのだとか。 まりさの場合、その頬にはれいむの髪が生えている。 フェロモンが一日かけて髪全体に通うようになり、それがゆっくりたちを引き寄せているのではないか、と。 「やつらにフェロモン、というのはあまり信じられませんけど…」 「いや、意外とそうでもないんだ。あいつらは飾りも見た目も一緒だ。だが、配偶者や親兄弟を識別できる。 それは、ゆっくりそれぞれが違った臭い、つまりフェロモンを持っているからだ」 ゆっくり一体一体でフェロモンは違うということらしい。 『まりさぁ…まりさぁ…!!』 「うわ…あのれいむ、なんか発情してるんですけど…」 「恐らく、配偶者をひきつけるような…早い話、性的なフェロモンが発せられてるんだろう」 店長は説明を続けた。 フェロモンには個体差があり、さらに親子間、配偶者間で発するものは変わるのだという。 この場合、元配偶者であったれいむの髪がすぐ近くにある。 そのため、まりさの身体はれいむが密着しているものと反応し、常に性的なフェロモンを発し続けている、というわけだ。 「まぁ、フェロモンの話はわかりましたけど…いい加減、気持ち悪いですねこれ」 「まりさのフェロモンが強いんだろうなぁ。れいむの髪を通していることも関係あるのかも」 「れいむとまりさのにおいが混ざって、ってことですか」 「物分りいいねぇ」 それほどでも。 『まりさ!まりさ!まりさああああああ!!』 『はなしなさい!このまりさのおひげはとかいはなわたしにふさわしいわ!!』 段々修羅場じみてきたな…。 のんきに眺めていたが、ぶちぃ、という音が聞こえてまりさが叫び声を上げた。 「お?」 「んん?」 『ゆぎいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!れいむのかみちぎったのだれええええええええええええええええええ!!!!!!????』 『ゆっくち!これでみゃみゃとれいみゅはゆっくちできりゅよ!』 ちぎったのは赤ゆのれいむ。 口にくわえられた細い髪の束の先には肌色の皮がついていた。 何か、雰囲気が変わったのを察したのだろう。 まりさの視点がキョロキョロと落ち着き無く変わる。 『こ、こんなことをされたらゆっくりできないんだぜ!!まりさがおとなしくしてるあいだにどっかにきえてね!』 しかし、どのゆっくりも反応しない。 『な、なんだぜ!?なんなんだぜ!?いいからまりさのおうちからでていくんだぜ!!!』 まりさは叫んだ。 叫びながら前にはねる。 逃げようとしているのだ。 『ゆげっ!?』 しかし、外へ出ることは出来なかった。 よこにいたありすがまりさに体当たりを食らわせたからだ。 『まりさがそんなとかいはなものをもってちゃいけないわ』 『むきゅ。かしこいぱちゅりーがもらってあげるわ』 『や、やめるんだぜ!これはまりさのれいむなのぜ…』 まりさは再び声を張り上げたが、最後まで言い切ることは出来なかった。 ありすが飛びつく。 ぱちゅりーが引きちぎる。 れいむが噛み付いて皮膚ごと抉り取った。 赤ゆ達は綱引きのように口でヒゲを引張る。 四方八方からヒゲを引張られまりさの顔は醜く伸びきっていることだろう。 カメラからはまりさの視点しか見えないのが残念だ。 『ゆぎゃあああああ!!ゆっぐりでぎないいいいいいいいいいいいいい!!!!やべでえええええええ!!! おねがいじまずがら!!!やめでえええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!』 まりさの叫びは画面の激しい揺れと共に響き続け、やがて静まり、モニタの映像も動かなくなった。 バイトが終わって、昼休み。 ちょっと遠出して、俺は件の公園へ出かけた。 まりさのその後を見届けるためと、カメラやマイクを回収するためだ。 店長からの要望で、撮影用のビデオカメラを装備。 「お、あそこだな」 例のヒゲまりさの巣を見つけ、録画ボタンを押しながら覗き込んだ。 「うわ…」 そこには、虫の息のまりさがいた。 マイクでも拾えないような、微細な呼吸音。 「ふひゅー…ふひゅー…」 巣の中にはまりさの破片が散乱していた。 俺の足元にはまりさの下顎、右には左目とその周り、奥の方には底部ごと剥ぎ取られた足が張り付いている。 これじゃあ動くことも、喋ることも出来やしない。 あのゆっくり共、ヒゲさえあれば良かったのか。 こんなにボロボロになりゃー食われててもおかしくないんだけど。 「しっかし…よく生きてるなー…」 まりさは残った右目だけでこっちを見、反応した。 「ひゅっ…!ふひゅっ」 助けを懇願しているような、そんな目だ。 俺に慈悲を乞うている。 まだ死にたくないと、縋り付いている。 「…ふひゅぅ……!ひゅっ」 何の反応も示さず、ただ録画を続ける俺に何かを呼びかけている。 「ひゅっひゅっひゅ…!」 「………。」 「ふひゅっひゅ…」 間もなく。 残った右目から一筋、涙が流れ落ちた。 それが地面に流れ、染みを作り、まりさは、呼吸を止めた。 【終】 途中で気づきましたが… コレヒゲ関係ねぇ!! すみません それと、一昨日書くといっておきながら今になってしまいました 重ねてすみません… by原あき トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 人間の腋毛と同じww 自分も前々からゆっくりは匂いに敏感だなって思ってました~(鼻が無いのに、あまあまや死臭を感じるなど) フェロモンが強すぎたのかな?ほとんど麻薬状態じゃないかww -- 2018-01-19 06 50 22 ↓wwww前振りすぐるwww -- 2010-09-10 19 52 58 すごいよマサルさんの話とかするなよ!絶対だぞ! -- 2010-09-06 05 35 26 イラストが欲しいね -- 2010-06-18 21 33 58